CHAIからはじめる「ポストパンク」入門
「NEOかわいい」
「コンプレックスはアートなり」
を掲げた女性4人組バンド、CHAI。
どうせコンセプト先行の、よくあるコミックバンドなんでしょ?
…と思いきや、彼女たちの作るサウンドは、震え上がるくらい「骨太」なんですよね。
ガールズバンド革命=「CHAI」
最初にYoutubeでみた(聴いた)ときは唖然としました。
「オレ弱いよ~」とか言って予防線はりながら、女子に腕相撲で負けたみたいな、10万ボルトの衝撃が走ったのです。
CHAI - N.E.O. [YouTube Music Sessions]
家庭にも社会にも、いよいよ男の出る幕はなくなりそうですね。。
さて、そんなCHAIは、Spotify世代のバンドらしく、音楽の探し方は「TV」でも「ラジオ」でも「レコードショップ」でもありません。
なんとH&Mで「Shazam*」です。
*Shazamは音声認識で今流れてる音楽を自動で検索するアプリ。
確かにH&Mとか海外のファストファッションのお店って、低音の効いた音楽がガンガン流れてますよね。言われてみればプチ・クラブ空間みたいです。新しい音楽の出会いのカタチなのかも。
CHAIのルーツ探訪
そんな新しい世代のガールズバンド・CHAIのルーツを探っていきたいと思います。
彼女たち、洋楽ポップス~R&B~EDMまで幅広く手当たり次第聴いてるようです。気に入った楽曲やアーティストはバンド内でシェアし合うんだとか。
確かにCHAIの音楽にはブラックミュージックやクラブミュージックの要素もふんだんに盛り込まれています。
しかし、CHAIのサウンドの「根っこ」にあるのは、「ポストパンク」だと個人的には思っています。
ポストパンクとは?
ポストパンクとは、70年代にパンクロックの焼け野原の後にイギリスで生まれた、ロックの一形態です。
音楽性はバンドにより様々ですが、あえて共通点を挙げるなら、「クール」で「トガった」サウンドを奏でるという点でしょうか。
邦楽ポストパンク
邦楽ロックでいえば、最近ではトリプルファイヤーやLillies and Remains、古くはフリクションや突然ダンボールなど。
淡々としたドラムの上に、ギターやベースが単純なリフを刻む、隙間だらけのようでいて隙のないアンサンブル。
Totsuzen Danball [突然段ボール] - 介添人の希望すること (1981)
フレーズを淡々と繰り返すだけの規則正しいドラムプレイは、ポストパンクバンドでよく用いられます。ドイツのNEU!というバンドが生み出した「モータリックサウンド」の影響です。
オリジナルポストパンク
お次は、オリジナルともいえるイギリス70~80年代のポストパンク。「ニューウェーブ」とも言われます。
現在進行形のオルタナティブ・ロックやインディーロックの直接的先祖にあたります。
Joy Division - Transmission [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
キング・オブ・ポストパンクと言えばジョイ・ディヴィジョン。
氷のように鋭利なギターサウンドと、メロディアスなベースライン、ジム・モリソンみたいに低く絞り出すボーカルは、多くのポストパンクバンドがこぞって真似しています。細かくシンバルを刻む手法は、このバンドの発明です。
CHAIのドラマー・ユナも多用していますね。
ポストパンクは先ほどのジョイ・ディヴィジョンのような「ダーク」なサウンドが多いですが、こちらはCHAIに似てポップな雰囲気。
ギターカッティングとベースラインがCOOL!
ただし、00:17頃のハゲの笑顔は今晩あなたの夢に出てきますよ?
いかがでしょうか?
意外と「ダンス」の要素も強く、いわゆる「昔のロック」の中でも、感性が比較的今に近いんじゃないかと思います。
その証拠に、ポストパンクのダンス成分を拡張したようなバンドが、10年ほど前にぽんぽん現れました。俗に言うポストパンク・リバイバルです。
00年代ポストパンク・リバイバル
グルーヴィで、だんだん今っぽくなってきましたね!
現代のバンドにもポストパンクの血が受け継がれてるのがわかると思います。
トロピカルな味付けは、少し「sayonara complex」っぽいかんじです。
H&Mで鳴っててもおかしくないぐらいダンスミュージック寄りですが、骨太なバンドサウンドとダークなメロディーはあくまで「ポストパンク」マナー。
最後のスネア連打も、EDMだったら「キター!」ってなるところで、ピタリと曲が終わるのが最高にカッコイイ。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
CHAIファンの皆様のアンテナに一個でも引っかかれば嬉しいです。
これを機にポストパンクを掘り下げていただけると感無量です。
NISENNENMONDAI - LIVE AT UPSET THE RHYTHM
女の子3人組ですが、もはや「邦楽ロック」「ガールズバンド」と呼べないぐらいストイックなサウンドです。。「話しかけるな」オーラが半端ない。
皆さんもうお気づきかと思いますが、私、ポストパンクが大好物なんです。
ダークなサウンドはもちろん、ハスに構えた態度や、ライブやアルバムアートワークでも「決して笑顔を見せない」感じが、中二病っぽくてドツボなんです!笑
対して、CHAIはほんとうに笑顔が似合う4人組ですが、クールな音楽性とのギャップがマジで素敵。
あっ…これが「NEOかわいい」ということか。
Unknown Pleasures (Bonus CD) (Reis)
- アーティスト: Joy Division
- 出版社/メーカー: Warner Classics UK
- 発売日: 2007/11/13
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星野源は1年以内にJ-POPを救う。
日頃から「音楽オタク」を自称している私nuskですが、今になって「星野源」の素晴らしさに気づきました。。
音楽活動だけでなく、俳優業や執筆活動なども同時進行でこなすマルチな才能と、人当たりのいいキャラクターはとても魅力的ですよね。
しかし、本当に注目いただきたいのは、音楽家としての「星野源」です。
あえて断言します。
星野源は1年以内に、J-POPの歴史を塗り替えます。
『でも「恋ダンス」に「ドラえもん」に朝ドラの主題歌…お茶の間にも完全に浸透してるし、すでにJ-POPの歴史に名前刻まれてるよね?』
ええ、確かにそうですが、こんなものじゃないんです、彼の可能性は。
今回は、星野源の音楽家としての「知られざる可能性」を紐解いていきたいと思います!
ブラックミュージックの伝道師としての星野源
彼はブラックミュージックを愛していて、「R&B」のサウンドをうまくポップスに落とし込んでいます。
「ブラックミュージックって何?」という方は以下の記事をご参考ください。
かねてからマイケル・ジャクソンのファンを公言している星野源。
ご存知の通り、この曲はイントロからしてジャクソン5のオマージュです。
I Want You Back - The Jackson 5
現在、J-POPや邦楽ロックシ-ンでも、ブラックミュージックは大きなキーワードになっています。
ブラックミュージックと一言でいっても、SuchmosやCeroなどの「シティポップ」、スガシカオやレキシなどが取り組む「ファンク」など多様なジャンルがありますが、星野源の場合は「R&B」です。
しかも、三浦大知や昔のEXILEのような「コンテンポラリーR&B」ではなく、50~60年代のイブシ銀の「オールドR&B」です。
古き良き「オールドR&B」を現代に伝えるアーティストは本当に数少ないです。(坂本慎太郎ぐらいでしょうか)
J-POP界にオールドR&Bの雰囲気を持ち込んだ「SUN」の功績は非常に大きいです。
しかし、星野源の本領はこんなものではありませんでした。
「モータウンコア」の創始者としての星野源
星野源と言えば「恋」。
これは万人に一致することかと思います。
しかし当時、「逃げ恥」やら「恋ダンス」やらが私にとっては目障りで眩しすぎて、自然と避けてしまっていました。。
こんなブログをつくっておきながら…「聴かず嫌い」ってほんとにこわいですね。
「恋」はJ-POPの歴史を揺るがす大名曲でした。
もちろんメロディーは文句なしにエクセレントです。
しかしサウンドに目を向けるなら、「鍵」は「ドラム」です。
ドラムが曲のテンポに対して、「ジャスト」に近いグルーヴを叩きだしています。
これはR&Bの名ドラマー「アル・ジャクソン」やYMO「高橋幸弘」のプレイを真似てるのではと推測します。
夜のヒットスタジオ 1980年6月2日 YMO TECHNOPOLIS~RYDEEN (雷電)
シーケンサーの機械のリズムに合わせて演奏することで、グルーヴ感をあえて殺しています。これもグルーヴの一つの形です。
もうひとつ注目すべきは、BPM(曲のテンポ)が妙に早いことです。
こちらは「恋」発売時のインタビュー記事です。「恋」の曲作りに関して、要約したうえで、私自身の意見も加えると、こうです。
『R&Bをベースに、BPMを極度に上げて、早送りしたようなサウンドにすることで、R&B特有の「粘り」や「モタつき」を解消し、都会的なサウンドが偶然出来上がった。』
そして、星野源はこのサウンドに「モータウンコア」と直感的に名付けました。
「モータウン」とはオールドR&Bで有名なレコード会社の名前で、「モータウンサウンド」と呼ばれるくらい独自の音楽性を確立していました。
そして、モータウンコアの「コア」とは「ハードコアパンク」のことです。ハードコアパンクとは、「パンクロック」をさらに先鋭化して、BPMを極端に釣り上げた音楽ジャンルを指します。
大衆音楽として大成功した「モータウン」
反社会的なムーブメントだった「ハードコアパンク」
相反するイメージを合体させた、星野源のネーミングセンスには脱帽です。
「恋」からはじまった「モータウンコア」は、意識的に早送りみたいなBPMにすることで、余韻をあえて残さない「クール」で「フレッシュ」なグルーヴを生み出しています。
これは「恋」以降のシングル「ドラえもん」なんかも同様です。
ちなみに、最近流行のTik Tokも、楽曲のBPMを上げたり、動画の速度を上げたりして、手軽に「クール」さを演出できるのがウリですよね。それと同じ原理です。
早送りサウンド古今東西
ところで、星野源の「モータウンコア」は真にオリジナルなのでしょうか?
もちろん同じような「早送りサウンド」の実験をしてきたミュージシャンはいます。
ひとつずつ検証していきたいと思います。
スクエアプッシャーというイギリスの打ち込み系ミュージシャンです。
生演奏では再現できないぐらいの早さでドラムサウンドを組み込む「ドラムンベース」や「ドリルンベース」というジャンルを確立しました。
「生演奏では再現できない」はずが、Youtubeには数々の「スクエアプッシャー叩いてみた」が。
ユーチューバーおそるべし。
もっと無邪気に、既存の楽曲のテープ回転数をイジって「ハイ、これ新曲ね」とリリースした猛者もいました。1973年のドイツでの話です。
しかしながら、彼らの生み出した数々の実験サウンドは、後に生まれる「テクノ」や「エレクトロニカ」、現代のインディーロックにも多大な影響を与えています。
SquarepusherやNEU!の「早送りサウンド」はいずれも、機械的で、悪く言えば「拒絶的」な印象を与えますが、星野源の「モータウンコア」は、クールでありながらも、あくまで「人懐っこい」グルーヴがあります。
これはモータウンサウンドを前提としているからだと個人的には思います。
単なる早送りサウンドを超えて、「クール」で「人懐っこい」グルーヴをもったこのサウンドは、「新しいポップミュージック」といって差し支えないでしょう。
それと同時に「モータウンコア」という言葉は、これからもっと広まっていくんじゃないかと思っています。
イエローミュージックの求道者としての星野源
以上、星野源は「モータウンコア」という音楽ジャンルを生み出しましたが、彼にはもっと大きい目論見があります。
それは、「イエローミュージック」の追求です。
イエローミュージックとは、先ほどのインタビュー記事でも語られていますが、要するにブラックミュージックとJ-POPを折衷したポップミュージックのことです。(またもや彼の造語です!)
言葉が違うだけで、山下達郎・YMO・サザンオールスターズ・DREAMS COME TRUEなど、「イエローミュージック」を目指してきたアーティストは沢山います。
それぞれ日本において大衆性と音楽性を見事に両立して活動してきました。
しかし、新しい世代のJ-POPシーンでは、皆無です。
星野源はそこを目指しているのです。
星野源のニューアルバムはJ-POPを救う!(1年以内に)
現在、「恋」「Family Song」「ドラえもん」「アイデア」が収録されるであろうニューアルバムが待望されています。
前作「YELLOW DANCER」では「時よ」で例のモータウンコアがみられるくらいで、全体的には意外とブラックミュージックに頼っていました。
次のアルバムでは、これがイエローミュージックだ!と世界に向けて発信できるような作品となることは間違いないでしょう。
それに共鳴するようにして、J-POPや邦楽ロックのアーティストがそれぞれの「イエローミュージック」を次々と打ち出していく、、
彼のつくり出す音楽には、そんな未来を期待させるパワーに満ちています。
あ、記事タイトルの「1年以内」というのはニューアルバムの希望納期です笑
源さん!
ご多忙の中、健康には十分気をつけた上で、私たちに新しいアルバムを(できれば1年以内に)届けてください(切望)
※12月19日にニューアルバム『POP VIRUS』発売されました!!
全曲解説はこちら↓↓↓
「グルーヴ」は三度の飯より旨し。シティポップからはじめるブラックミュージック入門
Suchmosを筆頭に、cero、D.A.N、Yogee New Wavesと、最近の邦楽シーンのメインストリームになりつつある、シティポップ。
バンドだけでなく、iriや佐藤千亜妃(きのこ帝国)などの「ボーカルもの」も見逃せません。
都会的な雰囲気を持ちながらも、アーティストごとに、多種多様の持ち味があるシティポップ勢。
共通点は、ブラックミュージックのエッセンスを意識的に取り入れているということです。
ということで今回は、ブラックミュージックの楽しみ方について、レクチャーしていきたいと思います。
ブラックミュージックとは
ブラックミュージックとは文字通り、黒人のつくり出した音楽の総称です。
具体的な音楽ジャンルでいえば、ジャズ・ファンク・R&B・HIP HOP等にあたります。
そして、ブラックミュージックとは主に、「グルーヴ」感の強い音楽のことを指します。
グルーヴって何?
ブラックミュージックにとって、「グルーヴ」という概念は欠かせないものです。
「グルーヴ」を敢えて一言で表すなら、
リズムの「ズレ」や「強弱」が生み出す「一定の効果」
となります。
…かなり慎重に言葉を選んでしまったので、全然ピンとこないですよね笑
何故慎重になってしまったのかというと、グルーヴという概念は、ブラックミュージックにとって、最も重要な要素であるにもかかわらず、ハッキリした定義がなされていないからです。
しかし、これはよく考えてみれば、別段おかしなことではありません。
だって、私たち人間の「魂」や「脳の働き」なんて、ほとんど解明されてないですよね?
飛行機の飛び方だって、実はあんまりよくわかってないそうですし、世の中わからないことだらけなんです。
なんでもかんでも誰かが「答え」を用意してくれる、グーグル先生が教えてくれると思うのがそもそも間違いなんです!
…ということで、肝心なところは煙に巻いて、話を先に進めるとしましょう。
グルーヴィーな音楽=身体を揺らしたくなる音楽
「グルーヴ」という概念は感覚的な要素が強いので、「言葉だけで」説明しようとすると、たぶん何万字あっても足りませんし、そもそも私には説明できる能力がありません笑
しかし、グルーヴ感の強い音楽を聴くと、私たちはどういう反応するのかは簡単に説明できます。
グルーヴの強い音楽を聴くと、自然と身体を揺らしたくなります。
もっと具体的に言うと、身体が勝手に踊りだしたくなるのです。
思わず踊りたくなるような音楽を指して、グルーヴのある(グルーヴィーな)音楽とよく表現しますよね。
グルーヴを生み出しているもの
グルーヴを生み出しているのは、楽器やボーカルの繰り出すリズムです。
グルーヴを実感するためには、各楽器のグルーヴを体感して、身を預けてみる必要があります。
ということで、Youtube先生に合わせて踊りながら勉強してみましょう!
ハイ、自習!!
①ドラムスのグルーヴ
ドラムはバンドのリズムを主導する楽器です。
ドラマーの実力次第でバンドの空気を一変させるほどの影響力を持っています。
「ポーティスヘッドというイギリスのバンドの曲を叩いてみた」
…ってホンモノより上手いじゃん!
それもそのはず、彼は現代ジャズシーンの雄ロバート・グラスパー・エクスペリメントで叩いていたプロ中のプロ。
ビートが細かすぎて、実際に踊ることはできなさそうです。。
しかし、「身体が思わず反応してしまう」感覚、なんとなくわかりますでしょうか?
②ギターカッティングのグルーヴ
ギターには、カッティングという奏法があります。
チャキチャキカッチャカッチャというような音を鳴らします。
わざと音をミュートして、鋭いリズム感を作り出しています。
Daft Punk - Get Lucky (Official Audio) ft. Pharrell Williams, Nile Rodgers
デスクトップミュージックを生業としていたダフト・パンクが、生のバンドサウンドで再び成功を掴みました。
Chic(シック)のギタリスト、ナイル・ロジャースを迎え、名人的カッティング芸を惜しげもなく披露しています。
一部の隙も無い、ラグジュアリーで完璧なポップソングに仕上がっています。
ベースのグルーヴ
ベースにも、ギターと同じくリズムを強調するための奏法があります。「スラップ」です。
ピックの替わりに唐辛子を用います。ウソです。
Bruno Mars - Treasure [Official Music Video]
サウンドも、MVの演出も、アース,ウインド&ファイヤーなど往年のファンクミュージックを忠実にパロっています。…全員でコッチ見んな!!
スラップの効いたベースが、腰を直接狙い撃ちするような強烈なグルーヴを生み出しています。
ボーカル(ラップ)のグルーヴ
ブラックミュージックでは、ボーカルもリズム楽器としての機能を求められます。
先ほど紹介したDaft PunkのGet Luckyに客演しているファレル・ウィリアムズのボーカルも、バンドサウンドの中で、リズミカルに溶け込んでいます。
しかし、ブラックミュージックにおいて究極のボーカルスタイルといえば、HIP HOPにおける「ラップ」です。
客演したA.Z.のラップパートが、イントロのすぐ後にはじまりますが、のっけから息継ぎなしの最高速で飛ばします。
ただ速いだけではなく、細かく踏んだ韻のリズム、メロディアスな抑揚(フロウ)のつけ方、そして耳なじみのいい声質と、音楽的要素が多く隠れています。
さて、リズムのズレが生み出す「効果」=グルーヴを体感していただけたでしょうか?
あ、グルーヴを体感するには、大前提として「音量を上げる」ことが必須であることをお忘れなく。
グルーヴは黒人音楽の専売特許?
今回はグルーヴを体感することで、ブラックミュージックに慣れ親しんでもらおうという趣旨なので、黒人音楽一辺倒の案内になってしまいましたが、グルーヴとは、ブラックミュージックだけの特権ではありません。
確かに、グルーヴの重要性を、ポピュラー音楽の世界に提示したのはジャズやファンクです。
しかし、例えば、沖縄音楽や、盆踊りや、メトロノームの音にも、実はそれぞれ異なるグルーヴがあります。
あらゆる時代、あらゆる地域の音楽を、「グルーヴ」という角度から覗いてみると、もっとオモシロイものがみえてくるのです…
Kraftwerk - The Robots HQ Audio
今回紹介したブラックミュージックのリズムは、少し後ろにアクセントをズラしたリズム(タメの効いたリズムと表現します)ですが、こちらドイツのクラフトワークは、ご想像の通り、「キカイのリズム」を元にしています。
メトロノームのように「ジャスト」なグルーヴは、思わぬ快感をもたらし、人々をテクノミュージック(とテクノカット)に向かわせたのです…
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邦ロック、「ガラパゴス」だっていいじゃない!
遅ればせながら、先月リリースされた水曜日のカンパネラの新EP「ガラパゴス」をヘビロテしています。
数々のフックを詰め込んだ複雑怪奇さと、夏の暑い日でもスルスルと聴ける軽快さを兼ね備えたトラックメイキングにシビれます。
まさに「四川風冷麺」のごとし。(以下飯テロ注意)
ケンモチヒロフミ氏のトラックは、リリースごとに、どんどんスキルとセンスが研ぎ澄まされている気がします。
ヒップホップ~ジャズ~南米音楽~EDMとワールドワイドに闊歩する無国籍サウンドは、「ガラパゴス」どころか、ONE OK ROCKやSuchmosに比肩して、世界で通用するポップミュージックではないでしょうか。
なんと、フランスやポーランドのフェスにも出演を果たしているみたいです。
飛ぶ鳥を落とす勢いですね。
そんな「洋楽ライク」な水曜日のカンパネラに対して、「ガラパゴス」な邦楽っていうのが存在します。
「アジカン大好きKANA-BOON」なんかがその代表でしょうか。
今回は、洋楽よりも、日本の音楽に影響を受けて、独自の魅力を見出していった「ガラパゴス」なアーティストを通じて、「邦楽ロックの素晴らしさ」を再確認したいと思います。
①KEYTALK
4つ打ち邦ロックの真打ち4人組。
J-POPマナーに忠実な展開と、表拍のお祭りリズムと、女子に媚びることを、一切の躊躇なく実行できる、スーパーいけすかないバンド。
メンバーの演奏技術もさるところ、音大出身者がおり、かつ全員作曲できるという、実はかなりのプロフェッショナル集団。
大学生っぽい軽薄さのその裏、実に巧妙な計算が施されています。
KEYTALK/「MONSTER DANCE」MUSIC VIDEO
就活中、「こいつノリで生きてんな」と決めつけてたチャラ男が、実はガッツリ企業研究してて、ちゃっかり財閥系商社に内定したと知った、あの日の記憶が蘇ります…うう…
②クリープハイプ
「オレ洋楽とかあんまし聴かないんだよね」派の筆頭、尾崎世界観率いるクリープハイプ。
売れないバンドマンの日常を切り取った風の歌詞はかなり屈折していますが、それも含め、「抑揚の強い歌メロ」「吐き出すように歌うサビ」「ハイトーンボイス」は、ベタベタの「邦楽ロック」マナー。
下積み期間が長かっただけあって、演奏技術や楽曲構成の巧みさは、学生あがり系バンドの追随を許しません。
この曲のカッティングの効いたギタープレイが大好きなんですが、他の曲ではあんまりみられません。
ドロドロとした人間感情を情感いっぱいに歌うボーカル尾崎。「世界観がスゴイ」と言いたくなる気持ちがわかります。
③ゆらゆら帝国
ヴェルヴェッツ、T-REX、ガレージロック、アメリカンハードサイケ…
古き良き60年代洋楽ロックの影響下にはありますが、水木しげる由来の湿度の高い歌詞世界と、日本人に染み込んだ表拍のリズムは頑なに手放しません。
「墓場で盆踊り(表拍)」にはなっても、決して「ファンキー(裏拍)」にならないのが彼らの持ち味です。
この曲はゆら帝の中でも特殊な部類ですが、彼らの特徴が顕著に表れていると思います。
乾いたギターサウンド、マンガチックな世界観、そして反復によるサイケデリック感覚。
2:41~からスローになるところは、ついつい「むこう側」に足を踏み入れてしまいそうになります…
邦楽ロックの素晴らしさに(今更)気づいた
少し自分語りをします。
私nuskは、大学入学ぐらいまでは邦楽ロックばかり聴いていましたが、大学時代に洋楽ロックに目覚めました。
その後、ファンクにジャズにHIP HOPと、徐々にポップミュージックの底なし沼にハマっていきました。
そして、一時期(丸5年くらい)は日本の音楽をほとんど聴かない時期がありました。
本場のイギリスやアメリカで評価されてる音楽に比べて、邦楽は明らかに劣ってる、という認識でした。
ええ、絵に描いたように清々しい「洋楽ロック中2病」です。
正直に言うと、今もその気配は抜けてません。(「封印した左手」が時々うずきます)
しかし、ひとつ最近になって気づいたことがあります。
それは「邦楽ロックって素晴らしい!」ということです。
邦楽<洋楽?
邦楽ロックは、構造的にはJ-POPです。
邦楽ロック=ロック風J-POPと言ってしまってもいいかもれません。
J-POPにはいくつもの制約(約束事)があります。
- サビで一番盛り上がらなくてはいけない
- 歌や歌詞をメインに聴かせなければいけない
- ゆえに「歌のメロディー」が最重要
など。
それらの「ガラパゴス」な制約が、邦楽が、洋楽に劣っている部分とはよく言われます。
そして、それらの約束事を守ることで喜ぶのは、歌謡曲や盆踊り、農耕のリズム感覚がDNAに刻み込まれた我々日本人だけです。たぶん。
これが、邦楽ロックはしょせん「ガラパゴス」文化であり、海外では通用しないと言われる所以です。
「ガラパゴス」でもいいんじゃね?
邦楽ロックは、日本人だけが喜ぶ、キャッチーな曲ばかり。だからクソ。
当時は本気でそう思ってましたが、上に挙げたようなバンドに出会い、邦楽ロックに「再入門」したことがキッカケで、考えがガラッと変わりました。
クリープハイプやKANA-BOONが、臆面もなく「バンプ聴いてバンドはじめました」とか「アジカン先輩サイコー!」とか言えるのが、カッコいいし、彼らの作る音楽も素直にカッコいいと思えるようになったのです。
邦楽ロックは伝統芸能
あらゆる制約を律義に守りながら、そういう「型」の中での差異や変化を楽しむ。
これは「能」や「落語」など日本の伝統芸能に通じるものです。
ある種の「伝統芸能」としての邦楽ロックの独自性に気づき始め、
日本語や日本人の感覚を持ち、かつ「音楽が大好き」である私が、邦楽ロックを聴かずにどうする!と思い至ったのです。
以上は、私のいちリスナーとしての、お粗末な経験ですが、第一線のアーティストとして、「邦楽ロック回帰」を果たしたバンドがいます。
ご存知「Galileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ)」です。
北海道出身のフレッシュな高校生バンドだった彼らは、リリースを経るごとに海外のインディーロックの要素を吸収し、作品として昇華していきました。
その終着点が、POP ETCのクリス・チュウをプロデューサーに迎えた「ALARMS」というアルバムでした。(名盤!)
しかしその後、デビュー曲である「ハローグッバイ」を再録したりして、「原点回帰」を匂わせはじめました。
古今東西多くのポップミュージックを吸収した後に、自らのルーツである邦楽ロックに、改めて真正面から向き合い始めたのです。
そうして、邦楽ロック最強アンセム「恋の寿命」が生まれました。
J-POPマナーを忠実に守りながらも、彼らの創造性を羽ばたかせた名曲。
ストレートなラブソングでありながら、随所に職人的な「フック」が施されています。
イントロの眩いギターリフ、煽るようなバスドラが生み出すサビ入りの高揚感に、我々日本人は「パワー」を感じざるを得ません。
そしてこの快感こそが「邦楽ロック」独自の素晴らしさなのです。ガラパゴス万歳!
さいごに
いま邦楽ロックシーンは、R&Bやファンク、HIP HOPなど、ブラックミュージックの要素を盛り込んだ洋楽ライクなものが増えています。
そういったものの中にもカッコいいものは沢山ありますし、そういう「洋楽ライク」どころを、洋楽を聴きはじめるキッカケにしてほしい!というのが、このブログの主旨です。
しかし、「コイツらベタベタやな~」と吉本新喜劇を観るような気持ちで、「ガラパゴス」な邦楽ロックを愛でるのもオツなものではないでしょうか?
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スクリレックスの「YOSHIKI愛」に溢れたスペシャルステージ! 【自宅deフジロック】
金曜日に引き続き先日も、クーラーの効いた部屋で、フジロックフェスティバルを満喫しました。
フジロック2018 2日目
イースタン・ユースとThe Birthdayの男気溢れるROCKなフィーリングに痺れ、D.A.N、MGMT、小袋成彬のステージは堂々としていながらも、真夏の打ち水のようなサウンドで、会場をチルしてくれましたね(もう現地参戦してたつもり)
しかし!昨日イチのニュースは、YOSHIKIとスクリレックスのスペシャルステージで間違いないでしょう。
YOSHIKI × スクリレックス
先日からSNSを通じて「ほのめかし」はあったみたいですが、本当に実現してしまうとは!
実はYOSHIKIとスクリレックスは以前から交流があったようです。
双方のファンからは共演を熱望されていて、「待ってました!」という反応だったようですが、前情報なしの私としては「え?何?いったいどういう組み合わせ??」と頭が混乱してしまったというのが本音です。
スクリレックスって誰?
スクリレックス(Skrillex)は、簡単に言うと、アメリカのエレクトリックダンスミュージック(通称EDM)のDJで、シンガーソングライターです。
EDMの本領をみた!!
正直、「EDM]と呼ばれるジャンルの音楽、パリピのイメージが強く、実は苦手でした。
しかし、今回のフジロックでのDJプレイを(クーラーのガンガン効いた部屋で)観て、何万人という音楽好きを狂わせる圧巻のステージングには感服させられました。
自分も現地で汗にまみれてもみくちゃになりながら踊り狂いたい!と内心思ってしまったのです。
打って変わって、YOSHIKIはご存知伝説的ロックバンドX JAPANのドラマーであり、ソングライターです。
X JAPANは、日本人の想像以上に海外で人気のあるバンドで、今年はなんとアメリカでも最大級の音楽の祭典、「コーチェラ・フェスティバル2018」にも出演を果たしました。まじでスゴすぎ。。
「愛」に溢れたステージ
世界的なアーティストという以外に特に音楽的共通点がなさそうな二人。
そんなふたりが共演するとわかったときも、「なんだか大人の事情が働いてるな…」と勘ぐってしまいました。
そんな中、ついにその瞬間が。
スクリレックスのメインステージがいったん終了し、ステージにはスケルトンのグランドピアノとYOSHIKIの姿が。
そして「ENDLESS RAIN」!!
グランドピアノとエレキギターのみで、何万人もの聴衆を沸かし、歌わせるその姿は、まさに「音楽の神が舞い降りてきた」ような瞬間でしたね(現地にいたつもり)。
何より注目すべきは、スクリレックスの、ニコニコと嬉しそうにギターを爪弾くその姿。
スクリレックスのプレイは、特になんということはないんですけど(笑)、本当に本当に、この人X JAPANが好きで、YOSHIKIが好きでたまんねえんだろうな、というのが観客にも伝染し、観客も含めた「絶え間ない幸福感」がびしびし伝わってきました。
まさに「Endless Rain」=「絶え間なく降り注ぐ幸福感」を体現しているかのような、フジロックの歴史に名を飾る名演でした。
絶え間なく注ぐ… あ、画像貼り間違えた
ステージの最後に
「Skrillex!!」
「YOSHIKIサン!!!」
と、何度も互いの名前を叫びあう姿は、とても愛らしかったです。笑
X JAPANは新作のリリースも控えていて、スタジオ音源での共演も期待されます。
さて、引き続き、本日も自宅deフジロックをエンジョイしましょう!!
【自宅deフジロック】ハライチ出演のプロモ動画に感動。
昨日7/27㈮より、ついに始まった苗場フジロックフェスティバル2018。
台風接近による天候悪化が心配されます。
現地の方々、ご武運をお祈りします。
さて、フジロックフェスティバルは20年以上にわたって続く、言うまでもなく、国内最大のロックフェスです。
大物ヘッドライナー。
大型新人。
未知の音楽。
そして雄大な自然。
その昔、高校時代の友人が言いました。
フジロック行ってみ?人生変わるよ?
インドか!
お前「●サワ」か!
と思いましたが、今思えば羨ましいです。。
遠いし、暑いし、雨降るし、家族もいるし、30歳を手前に体力的にも多分むり…
と、デブ特有の言い訳をしてしまう今日この頃です。
しかし、そんな行動力のない無気力デブのために、
今年のフジロック、やってくれました。
昨日の朝から始まってますが、以下のブログにも紹介されている通り、「自宅でフジロック、最&高」です!!
私も昨夜、家族をほったらかしにしてサカナクションに踊り狂ってました。
夜のステージもっと見たかった。
ワールドカップに徹夜する人たちの気持ちがよーくわかりますね。
各アクトについては、また別個に語り尽くしたい!のですが、今回は広告動画として流れるSoftbankのプロモ動画について、気になったことをお伝えしたいと思います。
ただならぬプロモ動画
Youtubeの広告動画はYoutubeユーザーにとっては、正直ちょっとネックですよね。
しかし、今回のご紹介する2つの広告動画に、わたくしnuskは、思わず笑い、涙してしまったのです。
① 気がしれない FUJIROCK2018 ver.A /ハライチ岩井
気がしれない FUJIROCK2018 ver.A / ハライチ岩井
お笑いコンビ、ハライチの岩井さんが歌っています。
歌詞の内容は今回の生配信のコマーシャルソングにすぎませんが、、
気になったのは、●●に寄せすぎ!ということ。
Suchmos - STAY TUNE [Official Music Video]
Suchmosに寄せすぎィ!!
スチュワート・ゼンダー譲りのベースライン。
スクエアに刻むハイハット。
そしてハライチ岩井、意外にもヨンスに似てることに驚愕。
眉つりあげたときのデコのしわ!
岩井さん研究してるわ…
②音楽が連れてくるもの FUJIROCK2018
コッレ最高。
- はじめてロックミュージックにぶっ飛ばされる
- クラスの音楽オタクにCD借りまくる(スーパーのふくろ笑)
- 洋楽ロックに目覚める
- 誕生日プレゼントにMDプレーヤー(笑)
- 自作プレイリストをCD-Rに焼いてプレゼント(恥)
などなど、すべてが音楽好きの誰もが通る道。
特に、確実にアラサーのハートを握り潰してやろう掴んでやろうという意図がミエミエです。
ですが、泣けてきます。アツイものがこみ上げてきます。
グッジョブSoftbank。
フジロック行きてえ。
とりあえず、10:20~のシャムキャッツ、11:00~のイースタン・ユース、自宅観戦します!!
音量を上げろタコ! 「BGM音量」の罠。
こんにちは、nuskです。
ずっと気になってました!
今年10月ROADSHOWです!
阿部サダヲの出てる映画って、なんだかものすごく安心感がありますよね。
絶対面白いんだろうなって。
あらすじは、歌声の小ささがコンプレックスのストリートシンガー(吉岡里帆)が、「キセキの歌声」を持つロックシンガー(阿部サダヲ)と出会い、ハチャメチャなことになるという感じみたいですが… 今のところ情報不足です。
原作小説があるみたいなので、公開前に予習します!
音楽に関しても、L'Arc〜en〜CielのHYDE、いしわたり淳治(元スーパーカー)、今が旬のあいみょんなど、豪華かつ異色のラインナップが揃っています。
製作陣の音楽趣味の闇鍋感多様性が伺えますね!
さて今回は、映画「音量を上げろタコ!」にちなんで、音楽を聴く際の「音量」の重要性について、お伝えしたいと思います。
ロックを聴くための「大前提」
大好きなロックミュージシャンはいるけど、
大好きな歌が、実はロックソングらしいけど、
実は「ロック」というジャンル自体の良さがイマイチわからない!
という貴方。
ロックを「聴くコツ」については以前こちらでまとめました。
うーん、ざっと読んでみたけど、あんまり実感できないなー
という方は、自分はロックとは縁がなかったんだな…なんて諦めないで下さい!
「ロックを聴くコツ」以前に、
ある落とし穴にはまってしまってるかもしれません。
それは…
「おしゃれなカフェのBGMみたいな小音量」
=「おしゃカフェ音量」
で音楽を聴いてしまっている、ということです。
心当たりのある貴方。
失礼ですが、あなたが聴いてるのは、実は「ロック」ではなく、単なる「鼻唄」ですよ!
※「鼻唄」の画像ってありませんでした(そりゃそうですよね、ヨホホ!)
「鼻唄」というのは要するに「歌のメロディー(主旋律)」のことです。
ロックだけでなく、音楽の良し悪しは「歌のメロディー」だけでは判断できません。
「歌メロ」しか聴こえていないというのはちょっと言いすぎかもですが、「おしゃカフェ」音量では決して聴こえない「音」や「フィーリング」があります。
小音量では聴こえないモノ
実はロックミュージックを聴くにあたって、ある程度音量を上げないと見えてこない(聴こえてこない)モノが「3つ」あります。
1つずつ解説していきましょう。
①ドラムが生み出すロックのグルーヴ感
さきほど案内した以前の記事で、ロックを聴く第一のコツとして、ドラムの叩き出すグルーヴを体感すべし、と書きました。
いいですか?
ドラムの「音を聴くべし」ではありません。
グルーヴを「体感すべし」です。
ライブに行ったことがある方なら誰でもわかると思いますが、ドラムの音圧って音源とは比べ物にならないですよね。
単にリズムをキープするんじゃなくて、ドカーンと、まさにロックの震源地と呼ぶべき迫力と、バンドを突き動かす推進力が、ロックドラムにはあります。
ドラムのフィルインは勿論、スネアのリズムがバンド全体をぐいぐい引っ張っていく感覚があります。おそらくこのフィーリングは、小音量では「聴こえて」こないでしょう。
ライブにおけるドラムの存在感が、ロック特有のグルーヴを生み出しています。
そして、ライブの環境にできるだけ近づけるためには、ある程度の音量が必要なのです。
②ギターノイズの快感
エレキギターのアンプには、「ゲイン」というつまみがあります。
これを調整することで、音に「歪み」をだすことができます。
私なりに擬音語であらわすと、ガギャガギャギュイーンっていうやつです。
常識的に考えたら、ただの雑音(ノイズ)なんですが、この「ギターノイズ」が、まるで音のシャワーのように心地よく聴こえてくる瞬間があります。
ロックの神様が舞い降りる瞬間です。
①と同じく「体感せよ!」です(雑)
インディーロックの最大公約数「レディオヘッド」。
今でこそ仙人もしくはホーム●スみたいな風貌のトム・ヨークですが、この頃はみんなバンドマンっぽいですね。
スタジオ音源をヘッドフォン(もちろん大音量)で聴くと、トリプルギターが生み出す厚みのあるノイズが、脳みそを高圧洗浄してくれます。
My Bloody Valentine - To Here Knows When (Live)
ギターノイズの快感を追求する「シューゲイザー」というニッチな音楽ジャンルもあります。
その代表格かつ完成形がマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。
この映像はちょうど10年前の今頃のフジロック。感慨深し。
いずれも、「ギターノイズのシャワー」は残念ながらYoutube動画では伝わりません。
スタジオ音源を、良質のヘッドホンでどうぞ。
③重低音の迫力
ベースの音や、バスドラムなどの低音楽器は、小さい音量では、その迫力はまったく伝わりません。(最悪、聴こえもしません)
また、低音楽器だけでなく、エレキギターやボーカルに含まれる低音成分も同様です。
それら低音の迫力を含めた、楽器同士の高密な絡み合いが、ロックミュージックの最大の魅力の1つといえます。
Black Rebel Motorcycle Club - Little Thing Gone Wild
この曲は、ツインドラムで、ベースの重心も低く、ボーカルも低音成分が多いので、大音量で聴くと、煮えたぎるマグマのような感覚が味わえます。
①ロックのリズム感、②ギターノイズ、③重低音 を味わうためには、「おしゃカフェ音量」では文字通りボリューム不足ということは、お分かりいただけたかと思います。
歌声や歌詞にも説得力が増す
どんなバンドでも、「ライブで聴くと3割増」とはよく言いますよね。
これはもちろん視覚的要素もありますが、先に挙げた音量の要素が非常に大きいと思います。
「この地味顔ボーカル、全然オーラないな…」
「コイツの歌い方カマっぽくて気持ち悪い!」
試聴した段階で、あなたにとって「マイナス評価」のバンドも、ライブで聴くことで、歌声、歌詞、メロディー等の要素に、不思議と説得力を感じてしまうものです。
これが「ライブ3割増しの法則」の正体です。
音楽を聴く行為=ライブの疑似体験
そもそも音源を「再生」するという言葉通り、私たちが普段CD等の音源を聴く行為=ライブの再現であるべきだと私は考えてます。
そもそも、100年前には「録音」の技術もありませんでした。
音楽(当時は専らクラシック音楽ですが)を聴くことは、生演奏(ライブ)を聴くことだったんですね。
生演奏を聴くということは、ミュージシャンや、演奏される音楽に向き合わなければなりません。
しかし、今や音楽は、いつでもどこでも聴けますよね。
その究極がspotifyに代表されるストリーミングサービスです。
「おしゃカフェ」音量に代表されるBGM文化というのは、音楽を飼いならしすぎた現代人の「怠惰」の産物なのかもしれません。
すみません、少々話題がシリアスになってしまいました。
「アンタ、4000字近くも御託を並べてるけど、音量を上げるだけで、ほんとに「ロック」ってのがわかんのかよ?」
という方に、これだけは言わせてください。
百聞は一見にしかず。
疑わしいと思うヤツは今すぐ…
音量を上げろタコ!!!
(よっしゃキマった)
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