Chapu Chapu Music ~世界一浅くて広い!浅瀬チャプチャプ系音楽ブログ~

いろんなジャンルの音楽の入り口をつくりたい!

ビル・エヴァンス トリオ / ワルツ・フォー・デビィ

 

f:id:nusk:20200903215034p:plain

 

想的なアートワークは、色彩感覚も含めて、非常に現代的。

収録されているのは、1961年のライブハウスでの演奏。

アートワーク同様、70年前のものとは、とても思えません。

時間を忘れるような、濃密で親密な、音楽的会話が繰り広げられます。

 

 

ビル・エヴァンス トリオ / ワルツ・フォー・デビィ

Bill Evans Trio / Waltz For Debby 

 

ジャンル:ジャズ

リリース:1961年

メンバー:

ビル・エヴァンス(ピアノ)

スコット・ラファロ(ベース)

ポール・モチアン(ドラム)



 こんなあなたに

 

◎大人っぽい洗練された音楽が聴きたい!

◎ジャズをきいてみたいけど、むずかしそう。。

◎ジャズに挑戦したいけど、ガチャガチャとうるさいのは苦手。。

 

 

おすすめポイント

 

・ジャズ入門の最適解

・入門盤にかかわらず奥が深い

・ジャズピアノの革命児ビル・エヴァンス

 

 

・ジャズ入門の最適解

 

ジャズ初心者に一枚、アルバムをおすすめするとしたら?

 

多くのジャズファンはこの一枚を差し出すことでしょう。(とはいえジャズファンはひねくれ者が多いので、一概には言えませんが…)

実際に、このアルバムから「あれ?ジャズってなんかいいかも」となる人は多いのではないでしょうか。

何をかくそう私もそのうちのひとりです。

メロディーが綺麗で、ハーモニーも心地よくて、女性にもおすすめです。

ジャズというのは非常に幅の広いジャンルではありますが、このアルバムは、間違いなくジャズ入門の最適解のひとつです。

 

f:id:nusk:20200906102943j:plain





・入門盤にかかわらず奥が深い

ジャズ入門におすすめ、と太鼓判を押しましたが、先ほども述べたように、ジャズファンってひねくれものが多いので、「入門盤」とされるような有名なアルバムにケチをつけがち、なのです笑

しかし、このアルバムにケチをつけるジャズファンはほとんどいないと断言できます。いたらモグリです。

なぜなら、おそらく耳タコほどにジャズを聴いてきた、往年のジャズファンも唸らせるほどに、このアルバムは「奥が深い」からです。

ポイントは、「ベースとドラムの存在感」です。

ピアノ単体での心地よいメロディー・ハーモニーの良さはもちろん、それらを引き立てるようにして、ベース・ドラムの、絡みあうようなプレイががこのアルバムを奥深いものにしています。

 

もうすこし具体的に言うと、ピアノが奏でるハーモニー(和音)に対して、ベースが、わざと異なる和音をぶつけたり。

ピアノに対して、ベースやドラムが、わざとズラしたリズムで対応したり。

 

・・・ということをよく言われていますが、わたし自身は音楽理論もわからないし楽器もさっぱり弾けないので、正直よくわかりません笑

感覚的には、とにかく気持ちいいツボを毎秒3回くらい押してくれるような音楽、とでもいいましょうか。

私でもわかることは、あくまでビル・エヴァンスのピアノだけでは構築できない音世界だということです。

聴きこむほどに、ベースドラムの「存在感」は、ピアノと同等かそれ以上に思えます。

数あるジャズ入門盤でも、ここまで「奥深い」アルバムはなかなかありません。

 

f:id:nusk:20200906103200j:plain

ドラムとベースの強調された、ヒップホップ以降の現代のポップミュージックとも親和性が高いかも?



 

 ・ジャズピアノの革命児ビル・エヴァンス

リーダーでありピアニストのビル・エヴァンスは、大学でクラシックを専攻しており、特にクラシック印象派と呼ばれたラヴェルドビュッシーの影響を受けています。

彼の演奏スタイルは、当時のジャズにおけるファンキーなピアノプレイとは一線を画しました。

クラシック印象派ゆずりの、複雑かつ美麗なハーモニーは、ビル・エヴァンスがジャズに持ち込みました。(正確にいうと、他にジョージ・ラッセルなどもいました)

クラシックをジャズと融合させた、斬新かつ美しいピアノプレイは、チック・コリアキース・ジャレットハービー・ハンコックなど60年代以降に活躍したジャズピアニストや、ブラッド・メルドーロバート・グラスパーという現行のアーティストにまで、絶大な影響を与えています。

つまり、60年代以降のジャズピアノの方向性180度変えた、ということです。

 

 

f:id:nusk:20200906131225j:plain

道理でエヴァンスのピアノは現代的に響くわけです!

 

アーティスト深堀り

 

 

ビル・エヴァンス(1929~1980)

クラシックの手法をジャズに本格的に持ち込んだピアニスト。

スコット・ラファロポール・モチアンとのトリオは、ピアノトリオの新しいあり方を示しました。ラファロの死によるトリオ解散後も、以後の活動の多くは「ピアノトリオの探求」に費やされます。

また、トリオに注力する以前は、マイルス・デイヴィスのバンドにも一在籍し、短い期間にもかかわらず、そのクールなピアノプレイや作曲技法で、マイルスに多大な影響を与えました。

ジャズの大名盤「カインド・オブ・ブルー」は、エヴァンスの影響なくしては語れません。

 

f:id:nusk:20200906131407j:plain

マイルスは、「カインド・オブ・ブルー」の収録に際して、辞めたエヴァンスを再び招集しました。



おすすめアルバム

 



ワルツ・フォー・デビィを聴いた方におすすめアルバムを紹介します。

 

・気に入った方へ

ブラッド・メルドー / Day Is Done

 

f:id:nusk:20200906131510j:plain

ビル・エヴァンスのピアニズムを現代に受け継ぐアーティストであるブラッド・メルドーは、エヴァンスと同じく、自身のキャリアの中心をピアノトリオに費やしています。 よりドラムスとベースを前面に押し出しつつ、美しくアグレッシブなピアノのメロディーも印象的です。また、 このアルバムは、ビートルズニック・ドレイクレディオヘッド(!)などのカバーが含まれており、ロックファン悶絶です!

 



・イマイチだった方へ

ボビー・ティモンズ / This Here is Bobby Timmons (1960)

 

f:id:nusk:20200906131715j:plain

ジャズはブラックミュージック!ノリノリでファンキーでないと!という方にはボビー・ティモンズのピアノトリオがおすすめ。 演奏は熱いんだけど、あくまでクールな感覚が現代的です。 ファンクやR&B、HIP HOPファンに。 ビル・エヴァンスが気に入った方も、ジャズピアノの振れ幅の広さにきっと驚くはず。



 

 

ビル・エヴァンスをもっと聴いてみたい方へ

ビル・エヴァンス / From Left to Right (1970)

 

f:id:nusk:20200906131924j:plain

アコースティックピアノと当時最先端の「エレピ」=電子ピアノを持ち替えながら演奏する、というコンセプトの、一見コマーシャルなアルバムですが、エレピでもエヴァンスのピアノの持ち味は変わらず、むしろより美しさが研ぎ澄まされているような印象です。

 

 

 

・ジャンルの垣根をこえて…

Dirty Three / Horse Stories (1996)

f:id:nusk:20200906132404j:plain

ギター・ヴァイオリン・ドラムと、エヴァンスのピアノトリオとは異なる編成ですが、 音楽ジャンルも大きく異なります。 ポストロックと呼ばれる、その名の通り、新しい手法で、次世代のロックを模索するようなロックのサブジャンルです。 シンプルな構成ですが、3者対等のプレイで、抒情的なアンサンブルをきかせる、という点でビル・エヴァンストリオを彷彿させます。




最後までご覧いただきありがとうございます!

このブログでは、浅く広くわかりやすく、をモットーに、いろんなジャンルの音楽を紹介しています。

よろしければブックマークやコメントお願いいたします!