「音楽オタク」は社会において無価値。
音楽オタクの価値?
「音楽オタク」とは、三度の飯より(もしくは同じくらい)音楽のことが好きで、音楽をジャンル問わず楽しんでいる人たちです。
自分もそんな端くれに間借りしてる人間だと自認していますが、音楽オタクになると、果たしてどんないいコトがあるのでしょうか?
例えば・・・
◎周りの友人に一目置かれはじめる
◎急に女の子にモテはじめる
◎同じクラスのバンドマンにプロデュースをせがまれる
◎将来は、音楽に関わる仕事で飯を食っていける
なんてことは、残念ながら一切期待できません。
この世はコミュ力がすべて。(絶望)
モテたり、他人から一目置かれたり、良い就職先を見つけることは、少々乱暴な言い方ですが、コミュニケーション能力がすべてです。
残念ながら、音楽の知識という武器があっても、それを興味深いトークにできるかは皆さんのコミュ力次第です。
若い皆さんはすべからく、コミュ力を磨きましょう!!泣
それでも音楽を聴く理由
さて、コミュ力講座は、その道の優秀なブロガーさんにお任せするとして、音楽オタクになっても実生活ではまったくもって役に立たないことはわかっていただけたと思います。
役に立つというと、せいぜい古い洋楽ロック好きの上司に
「ツェッペリン?Tレックス?お前若いのにシブい趣味してんな~」 と可愛がってもらえる、ぐらいでしょうか。。
それなのに、私が皆さんにもっと幅広く音楽を聴いてほしいと願うのは、音楽を聴くことそれ自体の楽しみにあります。
音楽を聴く楽しみというのは、
「テンションがあがる」
「共感できる」
「リラックスできる」
など、それぞれ何とも替えがたいものです。
しかし、「音楽バカ」である皆さんには、より奥深い楽しみを知ってもらいたいのです。
音楽には、ロックやポップスだけでなく、ジャズ、クラシック、電子音楽など、数多くの音楽ジャンルがあり、それぞれのジャンルの中にも更に細分化されたカテゴリがあります。
なんと、音楽ジャンルの総数は現在1000以上にのぼるといわれています。
そして、それぞれの音楽ジャンルには、そのジャンルが形作られるまでの、興味深い「歴史」や「ストーリー」があります。
ざっと一例を挙げていきましょう。
・ヨーロッパの国々に、奴隷として連行された黒人たちの子孫は、先祖が労働の中で生み出した「ブルース」を、本来「クラシック」で用いられる西洋の楽器で演奏しはじめました。それをきっかけで誕生したのが「ジャズ」です。
・「ジャズ」は電子楽器の導入と、「ロック」や「R&B」等の時代の空気を貪欲に飲み込むことで、文字通り「フュージョン」となりました。
・「プログレッシヴ・ロック」の先駆者である「キング・クリムゾン」は、60年代ロックの最高峰であった「ビートルズ」をチャートから蹴落とし(諸説あり)、次世代のロックの狼煙をあげました。
・ロックの大革命である「パンクロック」の精神は、ブーム終焉後「ポストパンク」と「ハードコアパンク」に枝分かれして受け継がれました。
・そのポストパンクとハードコアは、次世代で「オルタナティヴ・ロック」に収束し、パンクの精神を継ぎながらも、さらなる音楽的拡がりをみせました。
・アメリカの「AOR」を日本流に解釈して、80年代に国内で流行した「シティポップ」というジャンルは、まるで隔世遺伝のように、2010年代に日本や韓国でリバイバル(再流行)しています。
また、ロックやジャズを含むほとんどの大衆音楽は、「クラシック」と「ブルース」という大きな幹の上に築かれています。
すみません。おそらく今はチンプンカンプンだと思います。しかし、アーティストのルーツ(根っこ)を辿るようにいろんなジャンルを聴くようになってくると、みえてくるものがあります。
ジャンルを軸に音楽の壮大なルーツを辿っていくと、まるで「音楽」という巨大樹の姿がみえてくるのです。
音楽を聴いて、気持ちよくノレる・共感できるというのも、もちろん大切な要素ですが、サウンドや音楽の背景から、ジャンルどうしの繋がりが浮かび上がる瞬間のワクワクが、音楽を聴くうえでの最大の楽しみのひとつなのです。
役に立たないが故に素晴らしいものが世の中はあるのです。
↑日本語ロック孤高の存在、ゆらゆら帝国。ラストアルバムの最後を飾る一曲です。
絹のようにソフトなグルーヴと、「虚無感」を誘うパーカッションは、R&B/ブラックコンテンポラリーの大御所マーヴィン・ゲイの名作「What's Goin On」からの直接的な影響を感じさせます。
「意味を求めて無意味なものがない」という印象的なフレーズは、コミュ力ばかり求められる現代社会への、さり気ないカウンターパンチです(泣)
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