音楽の聴かず嫌い。 ~洋楽ロック完全攻略メソッド~

「良さがわからない」音楽(主に洋楽ロック)のHow to listenをレクチャーするブログ。

フロントマンの個性を「活かすバンド」と「殺すバンド」 サニーデイ・サービスとThe Smithsの共通点

ロックバンドの花形といえるボーカルは「フロントマン」とも呼ばれます。フロントマンの個性がバンドの方向性を決定づけ、フロントマンの魅力がそのままバンド自体の威力に直結するといっても過言ではありません。

バンド音楽の面白さは「花形」ばかりに限りません。魅力的なボーカリストを支える楽器隊が、バンドを「活かし」もすれば、「殺し」もするんです。

今回は。90年代から現在まで活躍するロックバンド、サニーデイ・サービスと、80年代にイギリスはマンチェスターで一世を風靡して今でも根強い人気を誇る、The Smiths、二組のロックバンドを通じて、フロントマンとバンドサウンドの関係性を紐解いてきたいと思います!

 

サニーデイ・サービスとは?

 

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サニーデイを知らない、もしくは最近のサニーデイしか知らないという若い方々に向けて簡単に説明しましょう。

 

サニーデイ・サービスとは、曽我部恵一(ボーカルギター)、田中貴(ベース)、丸山晴茂(ドラムス)で結成され、90年代に活躍した3ピースバンドです。

※残念ながら、丸山晴茂さんは2018年に他界しました。

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60~70年代の邦楽フォークや、黎明期の邦楽ロックの「文学部生的佇まい」を90年代にアップデートしたロックバンドです。

シンガーソングライター曽我部恵一の作る儚さ溢れるメロディーと、「踊れないボビー・ギレスビー」風のボーカルに注目がいきがちですが、実は「ロックバンド」としてのサニーデイの看板は、ベース&ドラムスのリズム隊にあったのでは、と個人的に解釈しています。

 

曽我部恵一だけでは・・・

もし「曽我部恵一と彼のバックバンド」であったなら、あの名盤「東京(1996)」も、ナヨっとした、いなたいロン毛の兄ちゃんのストーカーソングブック第2集という感じになっていて、正直聴けたもんじゃないと思います。

 

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散々こき下ろしているようですが、私自身、曽我部恵一の世界観は大好きです。

ただ、彼だけではクセが強すぎて一般受けしないということなのです。(ちなみにウチの奥さんは「ムリ」合わないみたいです・・・)

 

そんな曽我部のストーカーソング楽曲に説得力を持たせている(?)のが、ベース田中貴とドラムス丸山晴茂というプレイヤーの存在なのです。

 


サニーデイ.サービス / 東京 / あじさい

 

イントロに注目。

異様にクサいストリングスの導入がフェードアウトしたと思ったら、今度は異様に古臭いエコーのかかったアコギのアルペジオがはじまります。

完全に曽我部恵一の世界観。 

 

しかし胸やけ寸前に、野太いベース&ドラムスがバタバタと駆け込んできます。

すると、魔法にかかったように、アコギもストリングスも、曽我部のファルセットボイスも活きてくるのです。

WOW!これぞサニーデイ・サービス!!(解説放棄)

 

ザ・スミスサニーデイ・サービスの共通点

 

そんな「不思議なバンド」サニーデイ・サービスですが、ある共通点を持ったグループがイギリスにいます。

 

イギリスはマンチェスター出身、80年代に一世を風靡したザ・スミスというバンドです。

シンセやドラムマシンなど、エレクトロニクスを多用したグループ流行の中、ザ・スミスは、ベース・ドラムス・エレキギター(アコースティックギター)のシンプルな編成で、かつ新鮮味のあるバンドサウンドを紡ぎだしました。

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さて、そんなザ・スミスサニーデイ・サービス、何が似ているのでしょうか?

それは、ボーカルのクセの強さと、楽器隊の関係性です。

 

ザ・スミスには、モリッシーという風変りなシンガーがいました。

彼は、2m近くの長身で、眉毛が濃くて、ベジタリアンホモセクシュアルでマザコンという強烈な個性の持ち主でした。

その上、くねくねした踊りをしながらヨーデルみたいなヘンな歌を歌います。

百聞は一見に如かず。一度映像を見てみましょう。

 

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ヘンな歌い方やくねくねダンスはさておき、目を奪われるのは、ジーンズのベルトに括りつけた花束!

こんなでも、徐々にカッコよくみえてくるのが不思議。

 

いかがでしょうか?

こんな強烈なボーカリストを抱えていると、バンドの演奏は尻込みして引っ込んでしまいそうですが、このスミスというバンドには、あと2人の個性的なプレイヤーがいました。

それは、ジョニー・マーというギタリストと、アンディ・ルークというベーシストです。

 

マーのギターは流麗で繊細なサウンドを奏でます。エレキギター特有のガッツのあるプレイとは無縁で、流麗かつ繊細、カラフルで表情豊かなプレイが特徴的です

 

アンディのベースは、低音楽器ながら、歌うようにメロディアスなフレーズを弾きます。意外とファンキーなスタイルを持っていて、彼の存在が、バンドサウンドを若干「ダンス」に寄せています。

 

フロントマンVS楽器隊という構図

 

主にバンドの花形となる人物をフロントマンといいますが、バンドはフロントマンの個性と常に闘わなければなりません。

異なる個性をぶつけあって、かつ調和も失ってはいけません。これがバンドアンサンブルの極意です。

 

その試行錯誤の結果として、バンドそのものに「このフロントマンはこのバンドでなければ成り立たない!」と言えるほどの説得力が生まれるのです。

 

いかがでしたでしょうか?

抽象的な表現で申し訳ありませんが、このバンド特有の化学反応が、サニーデイザ・スミスには共通して生じているのです。

化学反応とはいいながらも、どんなバンドの試行錯誤の中で徐々に培われ、手にしたモノだと思います。よくフロントマンがソロデビュー(楽器隊は総入れ替え)したとき、「なんかイマイチ…」と思えてしまうことが、ありますよね?笑

それはやはり長年培われたバンドとの「一体感」 が不足しているからだと思うのです。

各メンバーの個性や欠点を補い合って、生まれるアンサンブルが、ロックバンドの最大の魅力なのです!ではまた!

 

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「なんちゃってシンガーソングライター」に告ぐ!本当にすごいのは「編曲者」だ!

 

「今回は作曲に挑戦してみました☆」

 

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横行する「なんちゃライター」

普段作曲しない、歌手専業のシンガーが、気まぐれで作曲してみたり、アイドルがアルバム収録曲のうち2曲くらい作曲してみたり、というのは、ありがちな話ですよね。

 

そんなイケ好かない人たちを「なんちゃってシンガーソングライター」略して「なんちゃライター」と名付けたいと思います。

 

だって、これっておかしな話じゃないですか?

 
地元のライブハウスで、実力はあるのに、いかんせんパッとしないくすぶっているバンドやシンガーソングライターが無数にいる中で、毛も生えてないような素人が作った曲が、CDになって全国流通してしまうなんて!不条理!

 

けど、もっとおかしな話があります。

 
それは、そんな素人の作ったはずの曲が、「案外イケちゃう」ということ。

 

三流アイドルの作った曲がこのオレ様の心を突き動かすだと!?

 

まがりなりにも、古今東西有象無象の「プロ」ミュージシャンの音楽を聴き潰してきました。

そんな生粋の音楽オタクである私の自尊心はズタボロです。

 

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なんちゃライターの作った曲が「案外イケちゃう」理由

 

作曲に関して素人のはずの三流アイドルの作った曲が、案外イケてる、つまり意外とクオリティが高いのはなぜでしょうか?


お気づきの方もいらっしゃると思いますが、答えは、「編曲者(アレンジャー)」の存在です。

 

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編曲者とは、メロディー(主旋律)に対して、様々なアレンジ(飾り付け)を施していく作業をする人のことを指します。
素人が思いついた、しょーもないメロディーが「案外イケて」聴こえるのは、「編曲者」が、私たちの予想以上にイイ仕事をしているからなんです。

 

 そして、実は三流アイドルが作っていたのは「楽曲」ではなく、単なる「鼻唄」だったんです!

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音楽は編曲者がつくる

実は巷に溢れる「楽曲」を音楽たらしめていたのは、「編曲者」が思いのほか頑張ってくれてるからなんですね。

「編曲」という作業は多岐にわたり、専門性も高いので、説明するのは非常に難しいです。。

こちらの記事がとてもわかりやすく、非常に参考になります。(丸投げ)

 

kohrogi.com

 

音楽は、歌のメロディーを先に作られることが多いです。

まれに歌詞を先に書く人もいるそうですが、ほとんどの作曲は「鼻唄」を作ることからはじまります。

 
鼻唄を元に、歌詞をあてはめて、リズムを決めて、バンドアンサンブルや、アレンジ(ストリングスや電子音等)を加えて、録音して、やっとできあがるのが「楽曲」です。

 
こうして出来上がった「楽曲」を「パン」に例えるなら、失礼な言い方ですが、「鼻唄」はまだ「小麦粉」の状態です。

この状態では食べられたものではないですよね。だって「小麦粉」を美味しく感じるのは、ダニぐらいですから。

 
いやいや、音楽はメロディーが第一でしょ。

メロディーが本当に優れていれば、鼻唄でも十分魅力的。

逆にメロディーがショボければ、どんなに飾り付けてもムダ!

 
ええ、確かにそうです。

世の中には「素材」だけで充分、余計なアレンジはいらない、と思えるような神がかったメロディーは確かに存在します。

 


The Carpenters - Yesterday Once More (INCLUDES LYRICS)

すべてのアレンジが平伏すような、神がかりのメロディー。「 余計な小細工はいらない」と思わせる稀有な名曲です。

 

しかし、ショボいメロディーだったら、何をしてもムダ、というのは明らかに間違いです。

素人が作ったショボいメロディーを元に、立派に仕上げられた楽曲が、世の中に溢れていることからも明らかです。

 

今回は、横行する「なんちゃライター」の存在を暴き、そこからみえてくる「編曲」の重要性を紐解いてみました。是非、皆さんのお気に入りの楽曲の「クレジット」を確認してみてください。

 

編曲:〇〇

Arrangement:〇〇

Arranged by 〇〇

 

というのがCDの歌詞カードのどこかに記載されていることと思います。もちろんCDやレコードがなくても、ネットでもカンタンに調べられます。

このアーティストって、自分でアレンジもやってるんだ!とか、このバンドってフロントマンの〇〇がぜんぶアレンジ考えてるんだ!という発見が、音楽を聴く楽しみの一つです。ではまた!

 

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夏の終わりに聴きたい J-POPの名曲 ベスト5

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台風一過、秋の到来。

夏の終わりが近づきつつあります。

 
いやいやまだまだアツいわ暑すぎて死ぬわ!って方はこちらの記事を。

nusk.hatenablog.com

 

 

今回は、「夏の終わり」に聴きたい邦楽ベスト5を発表したいと思います!

 

 

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第5位 ケツメイシ 夏の思い出

 

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ゆとり世代の夏の終わりのアンセムといえばコレ。

個性豊かなラップリレーも愉快ですが、注目してほしいのは、ファンキーでスムースなギターアレンジです。

Yogee New WavesLUCKY TAPESなんかのネオシティポップにも通じる爽やかさ溢れるポップチューンです。


LUCKY TAPES - Gun (Official Music Video)

 

 

第4位 BUMP OF CHICKEN  プラネタリウム

 

プラネタリウム

プラネタリウム

  • provided courtesy of iTunes

 

特に「夏の三角形」とか「ベガデネブアルタイル」みたいなフレーズに出てくるわけではありませんが、個人的にはBUMPの夏ソングといえば、「プラネタリウム」なんです。

盛り上がりを意識させないサビというのは、当時中学生だった私にとっては新鮮で、「サビどこだよ!」と友人同士で盛り上がってました笑

今思えば、サビの盛り上げを強要する「J-POPマナー」への、BUMP流のささやかな反抗だったのかもしれません。

 

 

 

第3位 荒井由実 さざ波

 

期待感を胸いっぱいに吸い込んだような、陽気で洒落気のあるイントロとAメロ。

そこから、寂しげな雰囲気のサビへ移行する、その落差に驚かされます。

Aメロでは、ピアノに寄り添うベースの洒脱なフレーズが、曲を引き立てています。

細野晴臣かな?と思いクレジットを見ていると、”Leland  Sklar”と表記。

調べてみると、アメリカのシンガーソングライター、ジェイムス・テイラーのサポートベーシストだそうです。AOR繋がりですね。

 


James Taylor-I Was a Fool to Care

 

 

 

 

第2位 KICK THE CAN CREW イツナロウバ

 

youtu.be

今年活動再開したキック・ザ・カン・クルー

「イツナロウバ」とは”It's not over” 要するに、俺の夏はまだなんにも終わってねーぜ。って意味です。

ラップの焦燥感と、トラックのチル具合。この温度差が最高にクール。

ゆるーいスタイルが売りのキックですが、この曲はなんとなく「エモい」んですよね。

ちなみに、KICK現役時代のKREVAが作るミニマルでスクエアなトラックって、そろそろ再評価されてもいいんじゃないでしょうか?

 


第1位 森山直太朗 夏の終わり

 

さて、ラストは「ド直球」を持ってきてしまいました。

弦楽器の枯れた音色が「秋」っぽいなぁ~で、断じて終わってはいけません!!

 

youtu.be

 

さくら(独唱)の影に隠れてしまいがちですが、この曲は、J-POPの歴史に名を刻むべき名曲です。

ストリングスを模したかのような歌の入りにまず痺れてください。

そしてそこから注目すべきは、バックの楽器隊のシゴトです。大人数ながら、いやに静かなバック演奏です。音数が少なく、独特の浮遊感。

「さくら」と同様「独唱」を活かすためのひっこんだアレンジと思われがちですが、とんでもございません。

この曲では、バックの演奏が異様な存在感を漂わせています。

様々な楽器が好き勝手おしゃべりをするようでありながら、調和のとれた演奏は珠玉です。

個人的には後期トークトークに似た、フシギな静謐さを持っていると思います。

 


Talk Talk - NEW GRASS - 1991

 

 

 

さいごに

 


さて、いかがでしたでしょうか?

見直してみると、世代バレしてしまうような、あまりに個人的な選曲で反省しています笑

 

涼しくなるにつれて、あれだけ鬱陶しかった夏の蒸し暑さが恋しくなってくるような、そんな気がしますよね。

そんな季節の移ろいに、特別な感情を重ね合わせるのは、私たち日本人特有の性質なのかもしれません。

 

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"コラボ"とは星野源最大の禁じ手である。EP『Same Thing』発売に寄せて

10/2深夜、星野源公式アカウントからのLINEメッセージ。内容は、、

 

新EP『Same Thing』リリース決定!

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ちょうど眠りにつくところだったのに、バッキバキに目覚めてしまいました。

 

2019年、『POP VIRUS』で平成音楽史の最期の金字塔を打ち立てた、星野源

 

その後も立て続けに、全国アリーナツアー、映画の主演、そしてなんとワールドツアーまで控えており、しばらく楽曲リリースはないだろうな、、と思っていた矢先。

 

完全新曲が4曲!

新進気鋭のマジカルバンド『Superorganism』参戦!(スマブラ風)

 

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『POP VIRUS』は星野源史上最高にトガった作品でしたが、星野源まだ攻めるんか!

と驚きをかかえたまま、公式の情報を舐めるように何度も読む中で、

今回の曲タイトルに付随する、あるモノに気付き、戦慄しました。

 

 

              feat.

 

 

実は、星野源の楽曲では今まで出てこなかった単語です。フィーチャリング、いわゆるコラボってヤツです。

 

「今日日誰でもやってるじゃん?」と思うでしょう。

「え、星野源って結構いろんな人とコラボしてるよね?」と思うでしょう。

 

そうそう、アルバム『POP VIRUS』でも、数々のミュージシャンが客演しました。トラックメイカーのSTUTS Snail's House、そしてあの山下達郎まで。

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もちろん、CDの歌詞カードに彼らの名前はしっかりクレジットされています。

が、曲名にはクレジットされていませんでした(たとえば、『Dead Leaf feat.山下達郎』とは書かれていなかった)

 

つまり、どういうことかというと、今までは、ゲストミュージシャンの参加はあっても、作詞・作曲・編曲いわゆる「曲作り」と呼ばれる作業は、完全に星野源がコントロールしていたということ。それが彼のスタイルでした。

楽曲にfeat.~がついていない、ということは、

「この曲はオレがつくった曲!」

という、星野源確固たる意思表明だったわけです。

 

料理に例えていうと、今までのコラボは、例えば山下達郎という野菜農家が、「コーラスアレンジ」という名の材料を提供する、ということにすぎませんでした。

それに対して今回は、例えばSuperorganismというチームが、同じ料理人として、調理場に立っている、というイメージ。

 

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まさしくタイトル曲『Same Thing』のクレジットでは、以下のようになっています。

 

Lyrics:Gen Hoshino
Music:Gen Hoshino
Arrangement:Superorganism

 

そう、作詞作曲は星野源ですが、アレンジメント=編曲がsuperorganismなんです。

 

私は、「星野源って何が凄いん?」と訊かれたら、反射的にこう答えることにしています。

「作詞作曲だけでなく、編曲が(めちゃくちゃ高いレベルで)できること!」

 

音楽を作る上で、実は作詞作曲以上に重要なのが、「編曲」なんです。この編曲が、星野源カラーを決定づけていると言っても過言ではありません。

※軽視されがちな「編曲の重要性」については、語りたいことが山ほどあるので、後日記事にします。

 

この編曲というのは星野源の大きな強みであり、今まで彼が守ってきた「不可侵領域」なんです。ここを自ら明け渡すということは、星野源ファンにとっては衝撃的なニュースですよね。

 

…と、不安感を煽るような書き方をしてしまってますが、基本的には私は星野源の音楽に「大信頼」を置いていますので、頭の中はわくわくでいっぱいです!

 

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コラボ相手であるSuperorganismも信頼できるパートナーといえるでしょう。メンバーのoronoと星野源は以前ラジオで共演したこともあります。

superorganismというバンドは、2017年に結成したばかり(!?)ではありますが、何せFrank OceanVampire Weekendのエズラ・クーニグらから激PUSHされ、デビューアルバムは、サイケデリックロックやモダンR&B,エレクトロニカをぶちまけた、まさに「新生物」がごとく闇鍋サウンドながら、異様な貫禄と、POPSとして完成された強度がありました。ポテンシャルといい注目度と言い、星野源に過不足ないパートナーです!

 

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前作のブラッシュアップや、原点回帰という道もあったでしょうが、我らが星野源は次の島を目指しています!

近々、新たな星野源ワールドがみれることでしょう!では!

 

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平成ポップミュージックの最高到達点。星野源『POP VIRUS』主観まみれの全曲解説!

 

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 先日発売された星野源のニューアルバム『POP VIRUS』の全曲解説です。

 

2018年は災害が多く、どちらかというと、暗い一年に思えましたが、星野源は、そんな年の瀬に最高にHAPPYでクリエイティブなクリスマスプレゼントを、私たちに届けてくれました!

 

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ニューアルバム『POP VIRUS』、12月19日の発売日に聴いてからずっと、興奮冷めやらぬ状態でした。これじゃあ冷静にレビューできないと思い、初聴から18日経った今、やっと正しく呼吸ができるくらいには落ち着いたつもりです。

 

さて星野源のニューアルバムは本当に皆さん期待されていたことと思います

なにせ3年ぶりのニューアルバム、そしてあの「恋」が収録、その他も巨大タイアップ目白押しですから。国民的待望ですよ!!

 

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だめだ!興奮冷めたと思ってたら、まだ真っ只中でした。

カッチリと冷静に解分析するには、まだまだチルアウト期間が必要かもしれませんが、それでは2019年も終わってしまうので。。

多少熱が入ることを、どうかお許しください。

 

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星野源『POP VIRUS』全曲解説

 

 

【Pop Virus】

 


星野源 - Pop Virus【MV】/ Gen Hoshino - Pop Virus

 

タイトルチューンの「Pop Virus」は、堂々としたオープニングを飾ります。

ふーむ、色気たっぷりですね。(おしりたんてい風)

 

先行でMVが公開されていたので、楽曲については先にこちらでレビューしています。

 

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この曲について、ひとつ危惧していたことがあります。

MV冒頭50秒ほどで、花瓶が割れるんですが、花瓶がパリンと割れる「効果音」と、その音の入る「タイミング」が、あまりにも気持ちよくて。

映像ありきということで、もしかするとこの「花瓶の割れる音」はアルバムではオミットされるんではないか?ということが心配でした。

が、ちゃんと収録されてましたね!

初っ端からどうでもいい話ですみません。

 

それはさておき、歌詞に耳を傾けると、音楽への愛をアツく歌っていますが、サウンドやMVを含めたイメージをひっくるめてみると、日本の音楽シーンやリスナーに対して、「オレがJ-POPの歴史を塗り替えてやる!」という決意表明にきこえます。

 

 

 

【恋】


星野源 - 恋【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - Koi

 

まず、発売から2年、ようやくアルバムに納められたことにまず安堵感を覚えます。

 

前回の記事でも触れましたが、星野源史上、もっとも有名な楽曲でありながら、サウンドの革新性と、楽曲の完成度もずば抜けて高い。まさに真のポップミュージック。

 

これぞ星野源の代表作と胸を張って言える作品です。

 

…が、あえてケチつけるなら、2年前ということもあって、アルバムから若干浮いてるといえないでもない…かな?

 

けどこの曲をアルバム用にリアレンジっていうのはさすがにできないですよね完璧すぎて(^^)

 

サウンド面では、「モータウンコア」のビートと、中国の弦楽器「二胡の音色が特徴的ですが、もうひとつ特筆したいのが、アウトロになって突然にハジけだすハマオカモトのベース。痺れるー

 

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【Get A Feel】

さて、純粋な新曲として流れるはじめての曲です。オーティス・レディングブッカーT&MG'sを思わせるオールドR&Bの趣のあるゴキゲンな一曲。間違いなくSUN」の系譜ですね。

 


星野源 - SUN【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - SUN

 

「恋」や「SUN」のようなアルバムのハイライトにあたる曲ではありませんし、一見なんでもないような小品にみえますが、小気味良いとリズムとメロディー、なによりバンドアンサンブルに一体感があって、噛みごたえのある一曲に仕上がっています。

星野源のように、R&Bを完全に血肉にしているアーティストは日本にどれだけいるでしょうか? 

 

河村カースケのドラムスがいつにもましてアル・ジャクソン。

 


Otis Redding - Love Have Mercy

 

 

 

 

【肌】

 

【Family Song】のカップリングとして収録されていた既発曲。スクエアなスネアドラムに対して、長岡亮介のエレキが、チャキチャキと気持ちよーく歌ってます。

 

この曲にはちょっとした個人的なエピソードがあって、車でこの曲を流すと、ウチの3歳の娘が

「あ、これロボットのハミガキのやつ!」

と叫ぶんです。

なんのこっちゃと思われるでしょうが、実は我が家では「ロボットのハミガキのやつ」といえば、YMOの名盤『BGM』のことなんです。

 


YMO - Ballet HD

 

確かに、このアルバムの冒頭曲「Ballet」と【肌】はドラムスのフィーリングがそっくりなんです!

つまりどういうことかというと、ウチの娘は天才だと言うことです(^^)

 

 


星野源 –「肌」【Studio Live from “POP VIRUS”】 / Gen Hoshino - Hada

↑スタジオライブ映像がUPされてました!みんなかっこいい~!初回盤買っておけばよかった。

 

 

 

 

【Pair Dancer】

音数が多いのにアンビエントで、静かな癒しを感じる曲です。

その静謐さに反して、驚くほど多くの電子音で構成されており、ドラムス不在、ベースはじめ生楽器はかなり控えめ。なのにちっとも機械的にきこえません。

 

電子音であそぶ無邪気さは、星野源の敬愛する細野晴臣のエレクトロニック・プロジェクトSketch Showを思わせますね。

 


Sketch Show - Chronograph

 

この曲が15年前以上前に作られたこと、そして今年72歳になるおじいちゃんがコレを作ったってこと、・・・まことに信じ難し。

 

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【Present】

 

チェロとピアノの低音から物悲しくはじまります。

ドラムスも生音ですが、HIP HOPのドラムループ(音源を繰り返してリズムトラックにする手法)のようなDOPEなプレイ。

 

重苦しさから展開するサビの開放感、そしてなにより間奏におけるサックスが小気味よくって大好き!

ジャズサックス奏者のポール・デスモンドを思わせる爽やかでさりげない音色が最高なんです!

 


That Old Feeling

 

やばい、まだ前半なのに熱が入りすぎてる。チルアウトチルアウト…

 

 

 

【Dead Leaf

 

山下達郎のコーラスアレンジが秀逸です。

コーラスを山下達郎に依頼して、しかも贅沢に一曲だけ部分使いしてしまうアーティストって、星野源以外にはいないでしょう。洗練されたモダン・ドゥーワップをご堪能あれ。

 

欲を言えば、ちょっとコーラスが控えめな気がして寂しいです。ON THE STREET CORNERシリーズの、あの音の渦のようなコーラスに埋れたかった。。

 


Tatsuro Yamashita - 01 - You Belong to Me(Bob Dylan)[On The Street Corner I][1986]

 

抑制されたタイトなドラムも印象的ですね。

前作でいうと、「Snow Men」のあの感じ。

そう、ディアンジェロバンドのクエストラヴ風ですね。

リズムを崩すフィルインもスタイリッシュで、アクセントになっています。

 

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むむ?というかこの曲のオマージュでは?リズムセクションの演奏がそのまんまですやん。。

 

ドラマーはおなじみ河村カースケではなく、玉田豊夢というセッションドラマーです。

 

河村カースケに比べてヤンチャなノリで、ビシッとイメージにハマってますよね。

曲にピッタリのミュージシャンを起用する、星野源の選択眼はほんとすごいです。

 

この玉田富夢はこの後の【サピエンス】でも最高の仕事をしてくれるんです。こうご期待!

 

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【KIDS】

 

またもや【Family Song】収録曲です。思えば、FSのシングルから3曲もアルバムに収録されてますね。

この曲は、星野源が、サンプラーとギター1本でゆるりと演奏しています。いわゆる宅録というやつです。

 

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※写真はイメージ

 

サビのメロディーと、ギターチューニング風の間奏が素敵な曲なのですが、少し残念に思うところがあります。。

というのは、ほとんど宅録のままアルバムに収録されてしまったからです。

 

どうせならバンドサウンドやストリングス、もしくは電子サウンドで大胆にアレンジし直してほしかったというのが本音です。

 

群雄割拠の『POP VIRUS』の楽曲の中ではちょっと「弱い」かな、、というのが現時点の印象です。

 

 

 

【Continues】

 

こちらは「恋」のカップリング。ツアータイトルにするほど星野源本人の思い入れの強い曲です。

 

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ゆっくりと前進していくような力強さを感じます。これはアルバムに収録して大正解だと思います。何様!

 

 

 

【サピエンス】

 

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今回の新曲のなかで、最も挑戦的な曲ではないでしょうか?

まずは先の【Dead Leaf】でも登場した玉田豊夢のドラムです。

 

え?ドラム?打ち込みじゃないのかって?確かにSTUTSのMPCもリズムを刻んでますが、メインを張ってるのは生のドラムです。

 

超高速で正確無比に刻まれる32ビート(ですかね?)は、スクエアプッシャーサンダーキャットを彷彿させます。人力ドラムンベースです!

 

youtu.be

 

そして第2は、snail's houseというDTMミュージシャンの参加。恥ずかしながら、彼の存在は今回この【サピエンス】ではじめて知りました。

 

こちらの記事で勉強させて頂きました。ご紹介ありがとうございます!

 

goodbyschema.hatenablog.com

 

 

Sneil's Houseは若干21歳にして、、kawaii future bassという、新しい音楽ジャンルの第一人者だとか。

ネットで海外のリスナーから見出されて、星野源自身も、ネット徘徊中にたまたま楽曲を視聴して、ガツンときてオファーしたそうです。夢のある話ですねー。

崎山蒼志くんと同様、次世代を担うアーティストです。

 

nusk.hatenablog.com

 

具体的にSneil's Houseは何に参加してるのかというと、ところどころに挟まれるシンセベースサウンドの制作です。

生演奏ではなく、コンピュータで作り出した「打ち込みサウンド」のはずなんですが、リズムや音色選びが、驚くほど肉体的です。

 

特にラストの畳み掛けは、ジャズの即興演奏を聴いてるような熱量を感じました。さきほどのサンダーキャットのベースプレイ、または、ジョン・コルトレーンのシーツ・オブ・サウンドに見紛うようで、ちょっとビビります。。

 

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さて、今回snail's houseくんは楽曲の制作には携わっていません。作曲と編曲は星野源ですからね。あくまで電子音で彩りを加えただけ。

しかし、【サピエンス】のアレンジは明らかにsnail's houseの諸作品からインスピレーションを得てるのは間違いないでしょう。

 

干支一回り以上も年下の人間からも、吸収できるほど視野の広い星野源もすごいですが、現代のトップアーティストに影響を与える18歳おそるべし!

今回のようなフィーチャリング参加含め、snail's houseのこれからの活躍に期待大です!

 

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【アイデア

 

ご存知、このアルバム『POP VIRUS』の方向性を決定づけた楽曲です。サピエンスからの繋ぎ、毎回鳥肌立ちますよね。

 

J-POPのど真ん中で、こんな自由に冒険ができるんだ という、これからのJ-POPの在り方を指し示す名曲です。 

 


星野源 - アイデア【Music Video】/ Gen Hoshino - IDEA

 

nusk.hatenablog.com

 

音楽って、「明るい曲」「暗い曲」なんてなんとなく分類したりしますが、この『POP VIRUS』の楽曲は、一曲の中に陰と陽の往来があるような曲が非常に多い気がします。中でもこの【アイデア】は白眉。

これが朝ドラの主題歌って、改めて思うとすごいですよね。

 

 

 

【Family Song】

 

オールドファッションドなソウルミュージックを丁寧に日本語ポップに落とし込んでいます。

「おげんさん」のキャラクターは、紅白歌合戦にも登場して、お茶の間にも知れ渡りましたね笑

 


星野源 - Family Song【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - Family Song

 

「きゅーきゅーしゃのー(救急車の)」

「ゆーがーたのー(夕方の)」

「がーいとーのー(街灯の)」

という「音節の少ない言葉選び」は、ソウルっぽい気持ち良い節回しをするために意識的にやってるんだなーと再発見

音楽を作るうえで、歌詞に力を入れるというのは、なんか上手いこと言う」んじゃなくて、「メロディーとして、リズムとして、どう聴こえるかを真剣に考える」ことなんだぜ?

と私たちに自信たっぷりに提示してくれています。

 

 

 

【Nothing】

 

夜の雨に打たれるようなSTUTSのビートと、胸を締め付けるような悲哀なメロディーライン。

ベイビーフェイスエリック・ベネイ、最初期のエグザイルなんかを思わせるネオソウル風味の楽曲です。

 

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【Hello Song】

いつのまにかラストソングです。

「なにもないな」という【Nothing】の地点から、「いくつもの骸をこえて」また新たに始めようという、全曲からの流れが最高にドラマチック!【恋】と同時期にできた楽曲ですが、ぜひアルバムの中で聴いていただきたいです。

 

まぶしすぎるくらい突き抜けた明るさですが、けっして虚勢ではなく、まさにいくつもの骸をこえてもまた蘇る、ポップ・ウイルスのすさまじい生命力をびりびり感じる曲です。完璧な大円団。

 

 

 

 

 

総評

 

さて、いかがでしたでしょうか。なにせ思い入れが半端ないので、うまくレビューできてるかどうかはわかりません笑

 

星野源のニューアルバム、どうだった?」と訊かれたら。

 

一言でいうと、濃厚でありながらも、口当たりがまろやか

職人的こだわりと、サービス精神が同居した、期待通りに期待以上の素晴らしいポップアルバム!

 

と自信たっぷりに答えたいです。自分の作ったアルバムではないですが笑

 

J-POPが「ポップ」であることって、当たり前のような気もしますが、日本の音楽シーンにおいて、ポップアルバムと言い切れる作品は数少ないと思います。

 

辛口にいえば、多くは、出来上がった曲を単に寄せ集めたバラエティパック、もしくはロックやR&Bの名を借りてポップであることを軽視したオ○ニーアルバムです。

 

そんな中、星野源はこれからのポップアルバム、ポップミュージックのあるべき姿を提示してくれました。

星野源は、『POP VIRUS』をもって、J-POPを芯から生まれ変わらせました。

 

半年前の予言はやはり当たっていましたね!ほらね!(むりやり)

 

nusk.hatenablog.com

 

 

ついに6000字をこえてしまいました。。

アルバム1枚に6000字語れる熱量に、自分でも関心しますが、 それよりも、それだけ語る余地があるほど、このアルバムのやアレンジの作り込み、作り手の思い入れが半端ないんです。

 

 

 

星野源『Pop Virus』最速レビュー ~発売日が待ちきれない貴方へ~

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2年半ぶりのニューアルバム「Pop Virus」の発売を来週12/19(水)に控えている星野源表題曲「Pop Virus」のMVが解禁されたので、早速レビューしたいと思います!

 

おひさしぶりです。

 

 

107日。

 

このブログの最終更新日から数えて今日までの日数です。

要するに、ぜんぜんブログ書いとらんっちゅーことですわ。(開き直り)

 

9月はじめに大型台風21号が襲来してから今も、台風被害の影響で、いまだその関係の仕事に追われ続けてます。

「オレらの台風はまだ終ってねえ」が業界内で決めゼリフとして濫用されてます。

 

…と、言い訳してみるも、奥さんからはやっぱり三日坊主だったね」と乾いた嘲笑。

一応まる2ヶ月は隔日で更新してたんですけど!と言い返そうと思いましたが、…まぁ結局続かなかったわけですよ…チクショー!!

 

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それでも沈黙を破ったワケ

 

そんな「107日の沈黙」(なんか映画のタイトルみたい)を破って再びブログを更新したからには理由があります。

 

星野源の新曲「Pop Virus(ポップ・ウイルス」の素晴らしさを伝えたい!と思ったから。

 

こちらの記事でもお伝えしたように、「恋」や「アイデアが収録される新アルバムへの私の期待値は、文句なしの100%でした。(もちろんアルバムも予約済み☆)

 

しかしこの表題曲「Pop Virus」のMVを視聴したことで、期待値は否が応でも100%を超えてしまいました!

期待を裏切らないどころか、いつも様々なアイデアで、私たちの予想を超えて響く、星野源の音楽には、ホントひれ伏すしかないんです。

 

 

では早速ご覧あそばせ。

 


星野源 - Pop Virus【MV】/ Gen Hoshino - Pop Virus

 

 

表題曲「Pop Virus」

 

ニューヨークの地下鉄を思わせる舞台と、車内に所狭しと書き殴られたグラフィティ・アート。(そして星野源の気取ったようなカラーサングラス!)から伺えるように、今回はアーバンなブラックミュージックにドップリと浸かった一曲となっております。

 

ブラックミュージックについてはこちら↓

nusk.hatenablog.com

 

 

楽曲は、おそらく星野源が弾いているであろうガットギター1本の音色からはじまりますが、初期にみられた素朴なフォークミュージックの面影はなく、ジャジーなコード選びと、タメの効いたグルーヴが、ブラックミュージックの予感を与えます。

そして次の瞬間、その予感を裏付けるように、シンプルで力強いビートが刻まれはじめます。

そう、「アイデアの2番において、アイツ完全に主役を食らってたぞ」とウワサの「STUTS」が、早速登場です。

 

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星野源「アイデア」楽曲レビューはこちら↓

 

nusk.hatenablog.com

 

 

STUTS参上。

 

MPCと呼ばれるサンプリングマシンで、ビートや効果音を、自由自在に作り出しています。よくみると、MV冒頭の画面左で本人がひっそりと「エア・サンプラーしてますね笑

 

詳しくは後述しますが、今回も「アイデア」同様、このSTUTS君が主役・星野源を大食らいしてしまいます。

 

星野源のアレンジ力

 

冒頭のサビが終わると、生音のストリングスをふんだんに使ったインタールード(間奏)へ突入します。

何気に星野源は、ストリングス使いがとても上手だと思ってます。

前作「YELLOW DANCER」に収録されている「桜の森」なんか、曲の骨格自体はゴテゴテのブラックミュージックなんですが、弦楽器のクラシカルな響きが、楽曲のグレードを何段も引き上げていて、驚かされます。

 

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ストリングスって、使い方によっては、すごく安っぽく下世話な感じになってしまいますよね。さぁココで盛り上がれ!」と「はいココで泣け!」とか言われてる気がして。。

特に具体例はあげませんが(^^)

 

星野源はあくまで自然に、楽曲をドレスアップする「アレンジ力」に長けていると思います。

 

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星野源バンド

 

さてさて、MVの中では、星野源バンドのおなじみの面々も次々と登場していきます。ギター 長岡亮介ベース ハマオカモトです。

この2人、楽器もってなくてもメチャクチャ格好いい!男でもフツーに惚れますよ。

とても洗練された風貌の2人ですが、演奏面も同様に、ギターとベースはアダルトかつ茶目っ気のあるプレイをみせてくれます。名脇役と呼ぶにふさわしいオシャレな二人です。

 

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…ん?だれか足りないって?

 

え?髭?

 

 

髭ドラマー不在

 

そうなんです。

なんと今回の楽曲、星野源バンドひいては「モータウン・コア」サウンドの要であるはずの、熟練のドラマー「河村"カースケ"智康」氏が一切登場しないんです。

 

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モータウン・コアについてはこちらの記事を!↓

 

nusk.hatenablog.com

 

 

「アイデア」の2番でも、ビートをSTUTSに譲っていたのが印象的でしたが、今回は、全編においてドラムスが不在なんです。

 

裏を返せば、生のドラムがなくても、こんなに豊かな、人間味溢れる音楽にしてしまえる、星野源ってやっぱ天才。紛れもなくポップミュージックの申し子ですよ!(隙あらば褒める)

 

…とはいえ、「恋」や「ドラえもん」等における、河村カースケ氏の、あの「スネア連打」が大好物の私としては、ニューアルバムでお腹いっぱい聴かせてくれることを、期待してます!

 

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STUTS=ジン・フリークス?

 

さて、ドラムが不在であるということは、この曲のビートを一貫して支配してるのは、他でもない、サンプラーを操るSTUTSの「指と手首」なわけです。

 

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しかし、これはよく考えてみると恐ろしいことです。

新入りのサポートメンバーが、既存のグループをかき混ぜてしまう様は、ハンターハンターオレもまぜろよ」の場面を思い出しました…笑

 

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※詳しくはハンターハンター34巻にて。

 

 

おっと忘れてはいけない。肝心の歌や歌詞もアツくてグッときます。

サビで繰り返される、

「音の中で 君を探してる / 霧の中で 朽ち果てても 彷徨う」

というフレーズは、KREVAの懐かしの名曲「音色」を思い起こさせます。静かに内から燃える情熱を感じさせる歌詞です。

 


音色

 

「Pop Virus」最大の衝撃

 

矛盾してるようではありますが、今回もいつもと変わらず、驚きと新鮮味を提供してくれる星野源

 

しかし、この「Pop Virus」において、私が受けた最大の衝撃をまだお伝えしていません。

それは、00:46辺りを皮切りに、ところどころ挿入される「ノイズ」です。

 

 

「ノイズ」とは?

 

「ノイズ」とは、その名の通り「雑音」のことですが、音楽においては、小難しくいうと、「非楽音(ヒガクオン)」と呼ばれます。

「楽音(ガクオン)」とは、ごく簡単に言うと、楽譜に表せる、ハッキリとした音程をもった音のことです。

ドラムなどの打楽器をのぞく、あらゆる楽器は、このはっきりとした音程=楽音を奏でるように作られています。

 

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クラシックを源流とするポップミュージックにおいては、ノイズ=非楽音は避けるべきものと普通は考えられていますし、そういう教育のせいか、私たちにもノイズは不快なものとして聴こえますよね

 

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「ノイズ」を音楽に取り入れる

 

そんな常識に風穴を開けたのは、生活音や自然の音を録音して作品に仕立て上げた「ミュージック・コンクレート」や、かの有名なジョン・ケージ4分33秒文字通り、4分33秒間何も演奏しないことで起こる観客の反応を音楽とした)などにあたります。

 

上記はしばしば「実験音楽」と呼ばれますが、ポピュラー音楽において、ノイズを積極的に取り入れた例は、「エレクトロニカ」という電子音楽のジャンルが筆頭に挙げられます。

 


Fennesz - Endless Summer

 

また、ロックミュージックにおいても、エレキギターの音をあえて歪ませるフィードバック奏法という手法がよく用いられますが、これを極端に解釈したシューゲイザーというジャンルもあります。

 

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「ノイズ」をポップスに吸収した星野源

 

いずれも分類的にはポピュラー音楽ではありますが、世間一般におけるポップミュージックとは言えないと思います。あくまでオルタナティヴな音楽です(ハマれば抜け出せないほどハマってしまうんですが笑)

 

そんな「ノイズ」を、いとも簡単にポップミュージックに落とし込んでしまったのが「Pop Virus」のスゴイところ。星野源のスゴイところです。

 

正直最初は「ギョッ」としましたが、なんとも曲の雰囲気にきれいに溶け込んでいますね。「ウイルス感染」というテーマにあわせた、ちょっぴりダークな味付けがうまくできています。

純粋なノイズ・ミュージックではありませんが、ほんのちょっと不気味で、ゾワッと神経を逆撫でするような音を、うまく音楽的に取り入れているのではないでしょうか?

 

SF的妄想

 

もしや、このノイズが、脳にポップ・ウイルスを発現させて、YouTubeやテレビなどを媒介して、感染拡大、ついにはパンデミックを引き起こす…そんなSFっぽい想像をついつい膨らませてしまいます笑

伊藤計劃虐殺器官に登場する「虐殺の言語」を思い出しました。

 

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このノイズを演奏(出力?)しているのはおそらくSTUTSのMPCですが、これは彼のアイデアなのでしょうか?それとも星野源本人のアイデアでしょうか?

いずれにしても、最終的にGOサインを出した星野源のコンポーザーとしての手腕には驚かされるばかりです(何が何でも褒めたい)

 

あのキラーチューンにも「ノイズ」

 

あ、そういえば「SUN」の冒頭にも「ノイズ」は使われてましたね。

 


星野源 - SUN【MV & Trailer】/ Gen Hoshino - SUN

 

「ノイズ」って、はじめはちょっと気持ち悪いけど、だんだん気になってきませんか?

 

私なんか、この「ヴヴヴー」という音が流れると、自然と脳みそがSUNきた!」って反応してしまいます笑

星野源「ノイズ・マジック」が快感になってきた貴方は、先述のノイズ・ミュージックの扉を開いてみてもいいかもしれません。新しい世界が拡がりますよ!

以上星野源「Pop Virus」のレビューでした!

 

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今回はたぶん単発の更新ですが、頑張ってブログ復活します。

 

…あれ?冨樫義博の巻末コメントみたい笑

 

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『HUGっとプリキュア』後期EDが「フューチャーベース」だった件。

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プリキュアが一挙に2人誕生したり、初代プリキュアが本編にいきなり登場したりと、秋の映画とクリスマス商戦に向けて盛り上がりをみせているHUGっと!プリキュア

ちなみに私の5歳の娘は、新プリキュア「キュアアムール」に夢中。

 

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 実はこの子アンドロイドなんですけどね(驚)

 

 

夏っぽい後期ED!

 

さて、物語も折り返し時点ということで、エンディングテーマも一新されました。

8月22日に発売された後期エンディング主題歌「HUGっと!YELL FOU YOU」です。

 

 

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年々クオリティがあがっていくことでおなじみの、プリキュアのEDのダンスCG。

若干「不気味の谷」を感じなくもないですが、、何度みてもガッツリ見入ってしまいます。そんなハイクオリティなCG映像だけでなく、今回は楽曲自体にも相当力が入ってました

やわらかいシンセの音が涼しげに彩りますが、ウラで不規則に鳴り続ける細かいハイハットのサンプリング。コイツは完全に「トラップミュージック」です。

いえ、派手な低音や盛り上がりを抑えた感じは「フューチャーベース」といえるでしょう。

 

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フューチャーベースとは?

 

フューチャーベースとは、EDMやトラップから派生した、「家聴き」できるクラブミュージックのこと。90年代の「ベッドルームテクノ」、最近では「チルウェイヴ」なんかに近い感覚で聴ける電子音楽です。

フューチャーベースは、別名「”チル”トラップ」とも呼ばれるように、アドレナリンの分泌を抑える、癒し効果のあるEDMという言い方もできるでしょう。

 

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ハイハットの不規則なパターンは「トラップ」譲りですが、ゴリゴリの低音と、カタルシスを味わう、いわゆる「EDMマナー」を極力排して、ポップミュージックやベッドルームミュージックとして生まれ変わったのが「フューチャーベース」

日本でも、PerfumeTofubeats水曜日のカンパネラなんかも最近フューチャーベース系のトラックを取り入れているように、今まさに旬のエレクトリック・ミュージックです。

 

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「フューチャーベース」というジャンル名の由来はイマイチ不明ですが、EDM文化から生まれながらも、EDMの「踊れればなんでもいい!」っていうスタイルから距離を取った、丁寧な曲作りの姿勢は、音楽好きとしてはとても共感できます。

 


HomePod — Welcome Home by Spike Jonze — Apple

 

アップル社ホームパッドのプロモ動画です。FKAtwigs主演・音楽はアンダーソンパークという超豪華メンツ。映像含め、ダンスパートが超クール。

 

 

CDのフルバージョンはもっとスゴイ!

 

「HUGっとYELL FOU YOU」では、このフューチャーベースを積極的に取り入れ、見事に"イマっぽい"フレッシュなポップソングとして出来上がっています。

CDに収録されているフルバージョンでは、2ヴァース目(2番のパート)や間奏部分では、TV版ではカットされているパートが聴けますが、TV版にはない、より冒険的なサウンドが楽しめます。

また、歌なしインストも収録されていて、純粋なエレクトリックミュージックとして、丁寧な音作りをじっくりと味わえる仕様になっています。

 

カップリングには、新プリキュアの2人が歌うデュエットソング「LOVE&LOVE」も収録されていて、こちらもキュートなポップソングに仕上がっています。

ちなみに、Bメロをよくよく聴くと、ブラーの「Song 2」のギターリフが拝借されてるではありませんか

作曲者(編曲者?)のロックオタクぶりが伺えます(笑)

 


Blur - Song 2

 

というわけで、HUGっとプリキュアの後期EDは「フューチャーベース」なのでした!

 

…そういえば、プリキュアの後期エンディングって、毎回けっこうチャレンジングです。

去年の「キラキラ!プリキュア アラモード」の後期EDも、ダフト・パンクみたいでしたし。

 

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↑のTV版では残念ながらカットされていますが、この曲も、2ヴァース目からの勢いと作り込みがハンパないです。必聴!!

 

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