星野源は1年以内にJ-POPを救う。
日頃から「音楽オタク」を自称している私nuskですが、今になって「星野源」の素晴らしさに気づきました。。
音楽活動だけでなく、俳優業や執筆活動なども同時進行でこなすマルチな才能と、人当たりのいいキャラクターはとても魅力的ですよね。
しかし、本当に注目いただきたいのは、音楽家としての「星野源」です。
あえて断言します。
星野源は1年以内に、J-POPの歴史を塗り替えます。
『でも「恋ダンス」に「ドラえもん」に朝ドラの主題歌…お茶の間にも完全に浸透してるし、すでにJ-POPの歴史に名前刻まれてるよね?』
ええ、確かにそうですが、こんなものじゃないんです、彼の可能性は。
今回は、星野源の音楽家としての「知られざる可能性」を紐解いていきたいと思います!
ブラックミュージックの伝道師としての星野源
彼はブラックミュージックを愛していて、「R&B」のサウンドをうまくポップスに落とし込んでいます。
「ブラックミュージックって何?」という方は以下の記事をご参考ください。
かねてからマイケル・ジャクソンのファンを公言している星野源。
ご存知の通り、この曲はイントロからしてジャクソン5のオマージュです。
I Want You Back - The Jackson 5
現在、J-POPや邦楽ロックシ-ンでも、ブラックミュージックは大きなキーワードになっています。
ブラックミュージックと一言でいっても、SuchmosやCeroなどの「シティポップ」、スガシカオやレキシなどが取り組む「ファンク」など多様なジャンルがありますが、星野源の場合は「R&B」です。
しかも、三浦大知や昔のEXILEのような「コンテンポラリーR&B」ではなく、50~60年代のイブシ銀の「オールドR&B」です。
古き良き「オールドR&B」を現代に伝えるアーティストは本当に数少ないです。(坂本慎太郎ぐらいでしょうか)
J-POP界にオールドR&Bの雰囲気を持ち込んだ「SUN」の功績は非常に大きいです。
しかし、星野源の本領はこんなものではありませんでした。
「モータウンコア」の創始者としての星野源
星野源と言えば「恋」。
これは万人に一致することかと思います。
しかし当時、「逃げ恥」やら「恋ダンス」やらが私にとっては目障りで眩しすぎて、自然と避けてしまっていました。。
こんなブログをつくっておきながら…「聴かず嫌い」ってほんとにこわいですね。
「恋」はJ-POPの歴史を揺るがす大名曲でした。
もちろんメロディーは文句なしにエクセレントです。
しかしサウンドに目を向けるなら、「鍵」は「ドラム」です。
ドラムが曲のテンポに対して、「ジャスト」に近いグルーヴを叩きだしています。
これはR&Bの名ドラマー「アル・ジャクソン」やYMO「高橋幸弘」のプレイを真似てるのではと推測します。
夜のヒットスタジオ 1980年6月2日 YMO TECHNOPOLIS~RYDEEN (雷電)
シーケンサーの機械のリズムに合わせて演奏することで、グルーヴ感をあえて殺しています。これもグルーヴの一つの形です。
もうひとつ注目すべきは、BPM(曲のテンポ)が妙に早いことです。
こちらは「恋」発売時のインタビュー記事です。「恋」の曲作りに関して、要約したうえで、私自身の意見も加えると、こうです。
『R&Bをベースに、BPMを極度に上げて、早送りしたようなサウンドにすることで、R&B特有の「粘り」や「モタつき」を解消し、都会的なサウンドが偶然出来上がった。』
そして、星野源はこのサウンドに「モータウンコア」と直感的に名付けました。
「モータウン」とはオールドR&Bで有名なレコード会社の名前で、「モータウンサウンド」と呼ばれるくらい独自の音楽性を確立していました。
そして、モータウンコアの「コア」とは「ハードコアパンク」のことです。ハードコアパンクとは、「パンクロック」をさらに先鋭化して、BPMを極端に釣り上げた音楽ジャンルを指します。
大衆音楽として大成功した「モータウン」
反社会的なムーブメントだった「ハードコアパンク」
相反するイメージを合体させた、星野源のネーミングセンスには脱帽です。
「恋」からはじまった「モータウンコア」は、意識的に早送りみたいなBPMにすることで、余韻をあえて残さない「クール」で「フレッシュ」なグルーヴを生み出しています。
これは「恋」以降のシングル「ドラえもん」なんかも同様です。
ちなみに、最近流行のTik Tokも、楽曲のBPMを上げたり、動画の速度を上げたりして、手軽に「クール」さを演出できるのがウリですよね。それと同じ原理です。
早送りサウンド古今東西
ところで、星野源の「モータウンコア」は真にオリジナルなのでしょうか?
もちろん同じような「早送りサウンド」の実験をしてきたミュージシャンはいます。
ひとつずつ検証していきたいと思います。
スクエアプッシャーというイギリスの打ち込み系ミュージシャンです。
生演奏では再現できないぐらいの早さでドラムサウンドを組み込む「ドラムンベース」や「ドリルンベース」というジャンルを確立しました。
「生演奏では再現できない」はずが、Youtubeには数々の「スクエアプッシャー叩いてみた」が。
ユーチューバーおそるべし。
もっと無邪気に、既存の楽曲のテープ回転数をイジって「ハイ、これ新曲ね」とリリースした猛者もいました。1973年のドイツでの話です。
しかしながら、彼らの生み出した数々の実験サウンドは、後に生まれる「テクノ」や「エレクトロニカ」、現代のインディーロックにも多大な影響を与えています。
SquarepusherやNEU!の「早送りサウンド」はいずれも、機械的で、悪く言えば「拒絶的」な印象を与えますが、星野源の「モータウンコア」は、クールでありながらも、あくまで「人懐っこい」グルーヴがあります。
これはモータウンサウンドを前提としているからだと個人的には思います。
単なる早送りサウンドを超えて、「クール」で「人懐っこい」グルーヴをもったこのサウンドは、「新しいポップミュージック」といって差し支えないでしょう。
それと同時に「モータウンコア」という言葉は、これからもっと広まっていくんじゃないかと思っています。
イエローミュージックの求道者としての星野源
以上、星野源は「モータウンコア」という音楽ジャンルを生み出しましたが、彼にはもっと大きい目論見があります。
それは、「イエローミュージック」の追求です。
イエローミュージックとは、先ほどのインタビュー記事でも語られていますが、要するにブラックミュージックとJ-POPを折衷したポップミュージックのことです。(またもや彼の造語です!)
言葉が違うだけで、山下達郎・YMO・サザンオールスターズ・DREAMS COME TRUEなど、「イエローミュージック」を目指してきたアーティストは沢山います。
それぞれ日本において大衆性と音楽性を見事に両立して活動してきました。
しかし、新しい世代のJ-POPシーンでは、皆無です。
星野源はそこを目指しているのです。
星野源のニューアルバムはJ-POPを救う!(1年以内に)
現在、「恋」「Family Song」「ドラえもん」「アイデア」が収録されるであろうニューアルバムが待望されています。
前作「YELLOW DANCER」では「時よ」で例のモータウンコアがみられるくらいで、全体的には意外とブラックミュージックに頼っていました。
次のアルバムでは、これがイエローミュージックだ!と世界に向けて発信できるような作品となることは間違いないでしょう。
それに共鳴するようにして、J-POPや邦楽ロックのアーティストがそれぞれの「イエローミュージック」を次々と打ち出していく、、
彼のつくり出す音楽には、そんな未来を期待させるパワーに満ちています。
あ、記事タイトルの「1年以内」というのはニューアルバムの希望納期です笑
源さん!
ご多忙の中、健康には十分気をつけた上で、私たちに新しいアルバムを(できれば1年以内に)届けてください(切望)
※12月19日にニューアルバム『POP VIRUS』発売されました!!
全曲解説はこちら↓↓↓