邦ロック、「ガラパゴス」だっていいじゃない!
遅ればせながら、先月リリースされた水曜日のカンパネラの新EP「ガラパゴス」をヘビロテしています。
数々のフックを詰め込んだ複雑怪奇さと、夏の暑い日でもスルスルと聴ける軽快さを兼ね備えたトラックメイキングにシビれます。
まさに「四川風冷麺」のごとし。(以下飯テロ注意)
ケンモチヒロフミ氏のトラックは、リリースごとに、どんどんスキルとセンスが研ぎ澄まされている気がします。
ヒップホップ~ジャズ~南米音楽~EDMとワールドワイドに闊歩する無国籍サウンドは、「ガラパゴス」どころか、ONE OK ROCKやSuchmosに比肩して、世界で通用するポップミュージックではないでしょうか。
なんと、フランスやポーランドのフェスにも出演を果たしているみたいです。
飛ぶ鳥を落とす勢いですね。
そんな「洋楽ライク」な水曜日のカンパネラに対して、「ガラパゴス」な邦楽っていうのが存在します。
「アジカン大好きKANA-BOON」なんかがその代表でしょうか。
今回は、洋楽よりも、日本の音楽に影響を受けて、独自の魅力を見出していった「ガラパゴス」なアーティストを通じて、「邦楽ロックの素晴らしさ」を再確認したいと思います。
①KEYTALK
4つ打ち邦ロックの真打ち4人組。
J-POPマナーに忠実な展開と、表拍のお祭りリズムと、女子に媚びることを、一切の躊躇なく実行できる、スーパーいけすかないバンド。
メンバーの演奏技術もさるところ、音大出身者がおり、かつ全員作曲できるという、実はかなりのプロフェッショナル集団。
大学生っぽい軽薄さのその裏、実に巧妙な計算が施されています。
KEYTALK/「MONSTER DANCE」MUSIC VIDEO
就活中、「こいつノリで生きてんな」と決めつけてたチャラ男が、実はガッツリ企業研究してて、ちゃっかり財閥系商社に内定したと知った、あの日の記憶が蘇ります…うう…
②クリープハイプ
「オレ洋楽とかあんまし聴かないんだよね」派の筆頭、尾崎世界観率いるクリープハイプ。
売れないバンドマンの日常を切り取った風の歌詞はかなり屈折していますが、それも含め、「抑揚の強い歌メロ」「吐き出すように歌うサビ」「ハイトーンボイス」は、ベタベタの「邦楽ロック」マナー。
下積み期間が長かっただけあって、演奏技術や楽曲構成の巧みさは、学生あがり系バンドの追随を許しません。
この曲のカッティングの効いたギタープレイが大好きなんですが、他の曲ではあんまりみられません。
ドロドロとした人間感情を情感いっぱいに歌うボーカル尾崎。「世界観がスゴイ」と言いたくなる気持ちがわかります。
③ゆらゆら帝国
ヴェルヴェッツ、T-REX、ガレージロック、アメリカンハードサイケ…
古き良き60年代洋楽ロックの影響下にはありますが、水木しげる由来の湿度の高い歌詞世界と、日本人に染み込んだ表拍のリズムは頑なに手放しません。
「墓場で盆踊り(表拍)」にはなっても、決して「ファンキー(裏拍)」にならないのが彼らの持ち味です。
この曲はゆら帝の中でも特殊な部類ですが、彼らの特徴が顕著に表れていると思います。
乾いたギターサウンド、マンガチックな世界観、そして反復によるサイケデリック感覚。
2:41~からスローになるところは、ついつい「むこう側」に足を踏み入れてしまいそうになります…
邦楽ロックの素晴らしさに(今更)気づいた
少し自分語りをします。
私nuskは、大学入学ぐらいまでは邦楽ロックばかり聴いていましたが、大学時代に洋楽ロックに目覚めました。
その後、ファンクにジャズにHIP HOPと、徐々にポップミュージックの底なし沼にハマっていきました。
そして、一時期(丸5年くらい)は日本の音楽をほとんど聴かない時期がありました。
本場のイギリスやアメリカで評価されてる音楽に比べて、邦楽は明らかに劣ってる、という認識でした。
ええ、絵に描いたように清々しい「洋楽ロック中2病」です。
正直に言うと、今もその気配は抜けてません。(「封印した左手」が時々うずきます)
しかし、ひとつ最近になって気づいたことがあります。
それは「邦楽ロックって素晴らしい!」ということです。
邦楽<洋楽?
邦楽ロックは、構造的にはJ-POPです。
邦楽ロック=ロック風J-POPと言ってしまってもいいかもれません。
J-POPにはいくつもの制約(約束事)があります。
- サビで一番盛り上がらなくてはいけない
- 歌や歌詞をメインに聴かせなければいけない
- ゆえに「歌のメロディー」が最重要
など。
それらの「ガラパゴス」な制約が、邦楽が、洋楽に劣っている部分とはよく言われます。
そして、それらの約束事を守ることで喜ぶのは、歌謡曲や盆踊り、農耕のリズム感覚がDNAに刻み込まれた我々日本人だけです。たぶん。
これが、邦楽ロックはしょせん「ガラパゴス」文化であり、海外では通用しないと言われる所以です。
「ガラパゴス」でもいいんじゃね?
邦楽ロックは、日本人だけが喜ぶ、キャッチーな曲ばかり。だからクソ。
当時は本気でそう思ってましたが、上に挙げたようなバンドに出会い、邦楽ロックに「再入門」したことがキッカケで、考えがガラッと変わりました。
クリープハイプやKANA-BOONが、臆面もなく「バンプ聴いてバンドはじめました」とか「アジカン先輩サイコー!」とか言えるのが、カッコいいし、彼らの作る音楽も素直にカッコいいと思えるようになったのです。
邦楽ロックは伝統芸能
あらゆる制約を律義に守りながら、そういう「型」の中での差異や変化を楽しむ。
これは「能」や「落語」など日本の伝統芸能に通じるものです。
ある種の「伝統芸能」としての邦楽ロックの独自性に気づき始め、
日本語や日本人の感覚を持ち、かつ「音楽が大好き」である私が、邦楽ロックを聴かずにどうする!と思い至ったのです。
以上は、私のいちリスナーとしての、お粗末な経験ですが、第一線のアーティストとして、「邦楽ロック回帰」を果たしたバンドがいます。
ご存知「Galileo Galilei(ガリレオ・ガリレイ)」です。
北海道出身のフレッシュな高校生バンドだった彼らは、リリースを経るごとに海外のインディーロックの要素を吸収し、作品として昇華していきました。
その終着点が、POP ETCのクリス・チュウをプロデューサーに迎えた「ALARMS」というアルバムでした。(名盤!)
しかしその後、デビュー曲である「ハローグッバイ」を再録したりして、「原点回帰」を匂わせはじめました。
古今東西多くのポップミュージックを吸収した後に、自らのルーツである邦楽ロックに、改めて真正面から向き合い始めたのです。
そうして、邦楽ロック最強アンセム「恋の寿命」が生まれました。
J-POPマナーを忠実に守りながらも、彼らの創造性を羽ばたかせた名曲。
ストレートなラブソングでありながら、随所に職人的な「フック」が施されています。
イントロの眩いギターリフ、煽るようなバスドラが生み出すサビ入りの高揚感に、我々日本人は「パワー」を感じざるを得ません。
そしてこの快感こそが「邦楽ロック」独自の素晴らしさなのです。ガラパゴス万歳!
さいごに
いま邦楽ロックシーンは、R&Bやファンク、HIP HOPなど、ブラックミュージックの要素を盛り込んだ洋楽ライクなものが増えています。
そういったものの中にもカッコいいものは沢山ありますし、そういう「洋楽ライク」どころを、洋楽を聴きはじめるキッカケにしてほしい!というのが、このブログの主旨です。
しかし、「コイツらベタベタやな~」と吉本新喜劇を観るような気持ちで、「ガラパゴス」な邦楽ロックを愛でるのもオツなものではないでしょうか?
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スクリレックスの「YOSHIKI愛」に溢れたスペシャルステージ! 【自宅deフジロック】
金曜日に引き続き先日も、クーラーの効いた部屋で、フジロックフェスティバルを満喫しました。
フジロック2018 2日目
イースタン・ユースとThe Birthdayの男気溢れるROCKなフィーリングに痺れ、D.A.N、MGMT、小袋成彬のステージは堂々としていながらも、真夏の打ち水のようなサウンドで、会場をチルしてくれましたね(もう現地参戦してたつもり)
しかし!昨日イチのニュースは、YOSHIKIとスクリレックスのスペシャルステージで間違いないでしょう。
YOSHIKI × スクリレックス
先日からSNSを通じて「ほのめかし」はあったみたいですが、本当に実現してしまうとは!
実はYOSHIKIとスクリレックスは以前から交流があったようです。
双方のファンからは共演を熱望されていて、「待ってました!」という反応だったようですが、前情報なしの私としては「え?何?いったいどういう組み合わせ??」と頭が混乱してしまったというのが本音です。
スクリレックスって誰?
スクリレックス(Skrillex)は、簡単に言うと、アメリカのエレクトリックダンスミュージック(通称EDM)のDJで、シンガーソングライターです。
EDMの本領をみた!!
正直、「EDM]と呼ばれるジャンルの音楽、パリピのイメージが強く、実は苦手でした。
しかし、今回のフジロックでのDJプレイを(クーラーのガンガン効いた部屋で)観て、何万人という音楽好きを狂わせる圧巻のステージングには感服させられました。
自分も現地で汗にまみれてもみくちゃになりながら踊り狂いたい!と内心思ってしまったのです。
打って変わって、YOSHIKIはご存知伝説的ロックバンドX JAPANのドラマーであり、ソングライターです。
X JAPANは、日本人の想像以上に海外で人気のあるバンドで、今年はなんとアメリカでも最大級の音楽の祭典、「コーチェラ・フェスティバル2018」にも出演を果たしました。まじでスゴすぎ。。
「愛」に溢れたステージ
世界的なアーティストという以外に特に音楽的共通点がなさそうな二人。
そんなふたりが共演するとわかったときも、「なんだか大人の事情が働いてるな…」と勘ぐってしまいました。
そんな中、ついにその瞬間が。
スクリレックスのメインステージがいったん終了し、ステージにはスケルトンのグランドピアノとYOSHIKIの姿が。
そして「ENDLESS RAIN」!!
グランドピアノとエレキギターのみで、何万人もの聴衆を沸かし、歌わせるその姿は、まさに「音楽の神が舞い降りてきた」ような瞬間でしたね(現地にいたつもり)。
何より注目すべきは、スクリレックスの、ニコニコと嬉しそうにギターを爪弾くその姿。
スクリレックスのプレイは、特になんということはないんですけど(笑)、本当に本当に、この人X JAPANが好きで、YOSHIKIが好きでたまんねえんだろうな、というのが観客にも伝染し、観客も含めた「絶え間ない幸福感」がびしびし伝わってきました。
まさに「Endless Rain」=「絶え間なく降り注ぐ幸福感」を体現しているかのような、フジロックの歴史に名を飾る名演でした。
絶え間なく注ぐ… あ、画像貼り間違えた
ステージの最後に
「Skrillex!!」
「YOSHIKIサン!!!」
と、何度も互いの名前を叫びあう姿は、とても愛らしかったです。笑
X JAPANは新作のリリースも控えていて、スタジオ音源での共演も期待されます。
さて、引き続き、本日も自宅deフジロックをエンジョイしましょう!!
【自宅deフジロック】ハライチ出演のプロモ動画に感動。
昨日7/27㈮より、ついに始まった苗場フジロックフェスティバル2018。
台風接近による天候悪化が心配されます。
現地の方々、ご武運をお祈りします。
さて、フジロックフェスティバルは20年以上にわたって続く、言うまでもなく、国内最大のロックフェスです。
大物ヘッドライナー。
大型新人。
未知の音楽。
そして雄大な自然。
その昔、高校時代の友人が言いました。
フジロック行ってみ?人生変わるよ?
インドか!
お前「●サワ」か!
と思いましたが、今思えば羨ましいです。。
遠いし、暑いし、雨降るし、家族もいるし、30歳を手前に体力的にも多分むり…
と、デブ特有の言い訳をしてしまう今日この頃です。
しかし、そんな行動力のない無気力デブのために、
今年のフジロック、やってくれました。
昨日の朝から始まってますが、以下のブログにも紹介されている通り、「自宅でフジロック、最&高」です!!
私も昨夜、家族をほったらかしにしてサカナクションに踊り狂ってました。
夜のステージもっと見たかった。
ワールドカップに徹夜する人たちの気持ちがよーくわかりますね。
各アクトについては、また別個に語り尽くしたい!のですが、今回は広告動画として流れるSoftbankのプロモ動画について、気になったことをお伝えしたいと思います。
ただならぬプロモ動画
Youtubeの広告動画はYoutubeユーザーにとっては、正直ちょっとネックですよね。
しかし、今回のご紹介する2つの広告動画に、わたくしnuskは、思わず笑い、涙してしまったのです。
① 気がしれない FUJIROCK2018 ver.A /ハライチ岩井
気がしれない FUJIROCK2018 ver.A / ハライチ岩井
お笑いコンビ、ハライチの岩井さんが歌っています。
歌詞の内容は今回の生配信のコマーシャルソングにすぎませんが、、
気になったのは、●●に寄せすぎ!ということ。
Suchmos - STAY TUNE [Official Music Video]
Suchmosに寄せすぎィ!!
スチュワート・ゼンダー譲りのベースライン。
スクエアに刻むハイハット。
そしてハライチ岩井、意外にもヨンスに似てることに驚愕。
眉つりあげたときのデコのしわ!
岩井さん研究してるわ…
②音楽が連れてくるもの FUJIROCK2018
コッレ最高。
- はじめてロックミュージックにぶっ飛ばされる
- クラスの音楽オタクにCD借りまくる(スーパーのふくろ笑)
- 洋楽ロックに目覚める
- 誕生日プレゼントにMDプレーヤー(笑)
- 自作プレイリストをCD-Rに焼いてプレゼント(恥)
などなど、すべてが音楽好きの誰もが通る道。
特に、確実にアラサーのハートを握り潰してやろう掴んでやろうという意図がミエミエです。
ですが、泣けてきます。アツイものがこみ上げてきます。
グッジョブSoftbank。
フジロック行きてえ。
とりあえず、10:20~のシャムキャッツ、11:00~のイースタン・ユース、自宅観戦します!!
音量を上げろタコ! 「BGM音量」の罠。
こんにちは、nuskです。
ずっと気になってました!
今年10月ROADSHOWです!
阿部サダヲの出てる映画って、なんだかものすごく安心感がありますよね。
絶対面白いんだろうなって。
あらすじは、歌声の小ささがコンプレックスのストリートシンガー(吉岡里帆)が、「キセキの歌声」を持つロックシンガー(阿部サダヲ)と出会い、ハチャメチャなことになるという感じみたいですが… 今のところ情報不足です。
原作小説があるみたいなので、公開前に予習します!
音楽に関しても、L'Arc〜en〜CielのHYDE、いしわたり淳治(元スーパーカー)、今が旬のあいみょんなど、豪華かつ異色のラインナップが揃っています。
製作陣の音楽趣味の闇鍋感多様性が伺えますね!
さて今回は、映画「音量を上げろタコ!」にちなんで、音楽を聴く際の「音量」の重要性について、お伝えしたいと思います。
ロックを聴くための「大前提」
大好きなロックミュージシャンはいるけど、
大好きな歌が、実はロックソングらしいけど、
実は「ロック」というジャンル自体の良さがイマイチわからない!
という貴方。
ロックを「聴くコツ」については以前こちらでまとめました。
うーん、ざっと読んでみたけど、あんまり実感できないなー
という方は、自分はロックとは縁がなかったんだな…なんて諦めないで下さい!
「ロックを聴くコツ」以前に、
ある落とし穴にはまってしまってるかもしれません。
それは…
「おしゃれなカフェのBGMみたいな小音量」
=「おしゃカフェ音量」
で音楽を聴いてしまっている、ということです。
心当たりのある貴方。
失礼ですが、あなたが聴いてるのは、実は「ロック」ではなく、単なる「鼻唄」ですよ!
※「鼻唄」の画像ってありませんでした(そりゃそうですよね、ヨホホ!)
「鼻唄」というのは要するに「歌のメロディー(主旋律)」のことです。
ロックだけでなく、音楽の良し悪しは「歌のメロディー」だけでは判断できません。
「歌メロ」しか聴こえていないというのはちょっと言いすぎかもですが、「おしゃカフェ」音量では決して聴こえない「音」や「フィーリング」があります。
小音量では聴こえないモノ
実はロックミュージックを聴くにあたって、ある程度音量を上げないと見えてこない(聴こえてこない)モノが「3つ」あります。
1つずつ解説していきましょう。
①ドラムが生み出すロックのグルーヴ感
さきほど案内した以前の記事で、ロックを聴く第一のコツとして、ドラムの叩き出すグルーヴを体感すべし、と書きました。
いいですか?
ドラムの「音を聴くべし」ではありません。
グルーヴを「体感すべし」です。
ライブに行ったことがある方なら誰でもわかると思いますが、ドラムの音圧って音源とは比べ物にならないですよね。
単にリズムをキープするんじゃなくて、ドカーンと、まさにロックの震源地と呼ぶべき迫力と、バンドを突き動かす推進力が、ロックドラムにはあります。
ドラムのフィルインは勿論、スネアのリズムがバンド全体をぐいぐい引っ張っていく感覚があります。おそらくこのフィーリングは、小音量では「聴こえて」こないでしょう。
ライブにおけるドラムの存在感が、ロック特有のグルーヴを生み出しています。
そして、ライブの環境にできるだけ近づけるためには、ある程度の音量が必要なのです。
②ギターノイズの快感
エレキギターのアンプには、「ゲイン」というつまみがあります。
これを調整することで、音に「歪み」をだすことができます。
私なりに擬音語であらわすと、ガギャガギャギュイーンっていうやつです。
常識的に考えたら、ただの雑音(ノイズ)なんですが、この「ギターノイズ」が、まるで音のシャワーのように心地よく聴こえてくる瞬間があります。
ロックの神様が舞い降りる瞬間です。
①と同じく「体感せよ!」です(雑)
インディーロックの最大公約数「レディオヘッド」。
今でこそ仙人もしくはホーム●スみたいな風貌のトム・ヨークですが、この頃はみんなバンドマンっぽいですね。
スタジオ音源をヘッドフォン(もちろん大音量)で聴くと、トリプルギターが生み出す厚みのあるノイズが、脳みそを高圧洗浄してくれます。
My Bloody Valentine - To Here Knows When (Live)
ギターノイズの快感を追求する「シューゲイザー」というニッチな音楽ジャンルもあります。
その代表格かつ完成形がマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。
この映像はちょうど10年前の今頃のフジロック。感慨深し。
いずれも、「ギターノイズのシャワー」は残念ながらYoutube動画では伝わりません。
スタジオ音源を、良質のヘッドホンでどうぞ。
③重低音の迫力
ベースの音や、バスドラムなどの低音楽器は、小さい音量では、その迫力はまったく伝わりません。(最悪、聴こえもしません)
また、低音楽器だけでなく、エレキギターやボーカルに含まれる低音成分も同様です。
それら低音の迫力を含めた、楽器同士の高密な絡み合いが、ロックミュージックの最大の魅力の1つといえます。
Black Rebel Motorcycle Club - Little Thing Gone Wild
この曲は、ツインドラムで、ベースの重心も低く、ボーカルも低音成分が多いので、大音量で聴くと、煮えたぎるマグマのような感覚が味わえます。
①ロックのリズム感、②ギターノイズ、③重低音 を味わうためには、「おしゃカフェ音量」では文字通りボリューム不足ということは、お分かりいただけたかと思います。
歌声や歌詞にも説得力が増す
どんなバンドでも、「ライブで聴くと3割増」とはよく言いますよね。
これはもちろん視覚的要素もありますが、先に挙げた音量の要素が非常に大きいと思います。
「この地味顔ボーカル、全然オーラないな…」
「コイツの歌い方カマっぽくて気持ち悪い!」
試聴した段階で、あなたにとって「マイナス評価」のバンドも、ライブで聴くことで、歌声、歌詞、メロディー等の要素に、不思議と説得力を感じてしまうものです。
これが「ライブ3割増しの法則」の正体です。
音楽を聴く行為=ライブの疑似体験
そもそも音源を「再生」するという言葉通り、私たちが普段CD等の音源を聴く行為=ライブの再現であるべきだと私は考えてます。
そもそも、100年前には「録音」の技術もありませんでした。
音楽(当時は専らクラシック音楽ですが)を聴くことは、生演奏(ライブ)を聴くことだったんですね。
生演奏を聴くということは、ミュージシャンや、演奏される音楽に向き合わなければなりません。
しかし、今や音楽は、いつでもどこでも聴けますよね。
その究極がspotifyに代表されるストリーミングサービスです。
「おしゃカフェ」音量に代表されるBGM文化というのは、音楽を飼いならしすぎた現代人の「怠惰」の産物なのかもしれません。
すみません、少々話題がシリアスになってしまいました。
「アンタ、4000字近くも御託を並べてるけど、音量を上げるだけで、ほんとに「ロック」ってのがわかんのかよ?」
という方に、これだけは言わせてください。
百聞は一見にしかず。
疑わしいと思うヤツは今すぐ…
音量を上げろタコ!!!
(よっしゃキマった)
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女性シンガーソングライター特集!邦楽フィメールSSWの夜明け。
申し遅れましたが、私nuskには、2人の娘(5才/3才)がおります。
それはそれは、天使のような可愛さです。
そんな娘たちが近頃、幼稚園で覚えてきたであろう「チ●チン」とか「ウ●コ」とかいうお下品な単語を、毎夜連呼しては笑い転げてます。
それに対して、
「女の子はそんなことは言いません!」
「もっと女の子らしくしなさい!」
と叱りつける毎日。
そんな中、TVアニメ「HUGっと!プリキュア」にハッとさせられた出来事がありました。。
「女の子だってヒーローになれる」
「男の子だってお姫様になれる」
「女の子らしく」と当たり前のように発してた言葉を、少し考え直さないといけないなぁと思った今日この頃です。
今、女性シンガーソングライターがキテる。
さて、本題です。
そんな「女性らしさ」「女の子らしさ」という狭いカッコでくくれないような、個性的な女性SSW(シンガーソングライター)が、続々と頭角を現しています!
彼女たちは、「なんとなく成行きでバンドやってまーす」的な、凡百のバンドマンが100人束になっても敵わない、強い芯と、アーティストとしての表現力を持ち合わせています。
今日はその中でも一押しのアーティストを4人(組)に絞って紹介していきます!
CHAI
まずは女性4人組バンド「CHAI」です。脱毛サロン ミュゼプラチナムのCMにも起用されているので、ご存知の方も多いでしょう。
「もうすでにブレイクしてんじゃん!」との声もあるでしょうが、いえいえこんなもんじゃありません。
なんせ彼女たち「グラミー賞」狙ってますから。
最初は、
「ハイハイ、どうせチャットモンチーとSHISHAMOの系譜でしょ」
なんて思ってスルーしていましたが、よくよくみてみると…
いや待てよ、なんかおかしいぞ…
「ド●ス」しかいないじゃないか!!
そうです。チャットモンチーやSHISHAMOは、あくまで愛嬌のある「ちょい●ス」でした。
しかしCHAIのメンバーはもれなく、一人余さず、
混じり気なしの●スなのです。
やっと言えます。
シャグスの再来だー!!
ザ・シャグスは60'sアメリカンサイケを聴く上で必ずブチあたる「試金石」とも言えるバンドです。
およそ50年の時を超えてCHAIと通じあう、インパクトのあるビジュアルもさることながら、驚くべきはその演奏力です。
「ヘタウマ」なんて上品なものではありません。単なる「へたくそ」です。
この怪しいグルーヴを「サイケデリック」と呼べるかどうか、あなたの素質が試されます。
思わぬところでテンションが上がってしまい、コイツらきっと普通じゃないな、とYoutubeで音源を聴いてみました。
ガールズバンド御用達のギターロックでもテクノポップなく、CHAIのサウンドは、紛れもなく「ポストパンク」でした。
CHAI - N.E.O. [YouTube Music Sessions]
ポストパンクとは?
ポストパンクとは、1970年代後半パンクロック終焉の後、パンクの精神を受け継ぎながらも、音楽的に多様化していったバンド群の総称です。
「ポスト」パンク=パンクの後釜、ということですね。
音楽性は様々ですが、従来のロックバンドに比べて、クールで簡素なサウンドを目指しました。
Joy Division - Transmission [OFFICIAL MUSIC VIDEO]
やけに高い音を奏でるベースと、高速で刻まれるハイハット。
当時のリスナーからすると、一昔前の「オールドロック」を遥か銀河系の彼方へぶっ飛ばすほど、革新的でクールだったのではないでしょうか。
Young Marble Giants- Wurlitzer Jukebox
隙間だらけの音作り。ドラムス不在。やる気のないボーカル。
ブルースに根差した旧来のロックとは一線を画した自由なサウンドは「ニューウェーブ」とも呼ばれました。
ポストパンクの「クール」なサウンドを継承したCHAIというバンドは、「ちょい●ス」ではなく、「クール●ス」と呼ぶに相応しいのではないでしょうか?
そう、真夏のサラリーマンの必須事項ですね(それはクールビズ!)
柴田聡子
なんやコイツ!今度はド直球の「ちょい●ス」やんけ!
スミマセン、もうやめておきます。
女の子の親として、ものすごく恥ずかしくなってきました。。
音楽的には、ゴリゴリの極上シティポップです。
「ゴリゴリのシティポップ」というと、「白いブラックサンダー」みたいなおかしな感じがしますが、気にしないでください。
バンドサウンドの都会的なアレンジも、スパイスを効かせつつ綺麗にまとまっていて、軽やかなボーカルと見事に調和しています。
フーセンの空気が抜けて飛んでいくような歌い方がとてもキュートです。
荒井由実の「中央フリーウェイ」を思い起こさせます。
シティポップという河川があるとすれば、この曲と、この時代のユーミンは、その最上流に位置すると個人的に思っています。これほど澄み切ったメロディーとサウンドがあるだろうか。
iri
お次は嗜好を変えて、R&B系のSSW。
spotifyのオススメに出てきましたが、そのハスキーなボーカルが醸し出すLAZYな雰囲気に一発でやられてしまいました。
若干24歳で、完全に堂に入ってます。
ボーカリストのしてのオーラがハンパないです。
経歴を調べてみると、JAZZバンドでボーカルを務めていたとのこと。道理で。
日本では珍しく、楽曲ごとにプロデューサーを変えるというU.S.Aなスタイルでアルバムを制作しています。
コラボしている制作陣には、5lackやケンモチヒデフミ(from水曜日のカンパネラ)などのビッグネームも。
スモーキーでジェンダーレスなボーカルスタイルは、JAZZシンガーのカサンドラ・ウィルソンを彷彿させます。
Cassandra Wilson - Blue Light 'Til Dawn
男性?いや女性?あれやっぱり… 歌声が渋すぎて、最初ラジオではじめて聴いたときは、本当に男女の区別がつきませんでした。
しかし、闇夜から忍び寄る蛇のような、湿度の高い歌声に、一瞬で虜になりました。
忍び寄るスライドギターと、音の隙間を生かした大人なアレンジも見事。
吉澤嘉代子
今回紹介したアーティストの中では、ボーカリストとしての表現力がダントツでNo. 1です。
吉澤さん、「からだの奥に残ってる」はマズくないですか?
クリープハイプばりの「内角攻め」の歌詞は置いといて…
この人は何より歌が凄いんです。
なんというか、歌声にエグみがあって、声色にいくつもバリエーションがあって、その切替えがものすごく上手です。
にもかかわらず、ごく自然に流れるようなフレーズを歌います。
うまく伝わっていないと思いますが、こんな時に便利な言葉があります。
つまり「天才」ということです笑
以前紹介した崎山蒼志くんにも通じる要素かもしれません。
エグみのある歌声と流麗さの同居は、椎名林檎(昔に比べて格段に歌唱力あがってますよね)や、イギリスのSSWジョニ・ミッチェルを思わせます。
All I Want - Joni Mitchell (original)
生活感のある、少々キワドイ歌詞世界と、情感のこもった歌い方は、先程も言及した通り、クリープハイプにも似ていますね。
以上、女性SSW特集でした!
今回紹介したどのアーティストも、「女性」であることを武器にせず、かつ「女性」であることと常に向き合いながら、立派なひとり(1組)の音楽家として、自らのキャリアを着実に進めていますね。
1年先には、いずれのアーティストも間違いなくブレイクしてるはず。
彼女たちのDay Break(夜明け)は近い!!
…さて、これから娘の教育方針会議をはじめたいと思います。。
では。
- アーティスト: iri
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酷暑には音楽を。暑い時に聴きたい洋楽オールジャンルBEST5
暑い日が続いています。
最高気温は各地で自己ベスト更新しまくってますね。
どうなるのでしょうか日本列島。
今日仕事から帰ると、5歳の娘が「アナ雪」のDVDをみていました。
あ、そういう涼の取り方も理解してるんだと妙に感心してしまいました笑
さて、そんな5歳の娘からインスピレーションを頂きまして今回は、酷暑の日に聴く(効く)音楽というテーマで記事を作ってみました!
①シティポップ
まずは「夏」が代名詞ともいえる、日本独自の音楽ジャンル「シティポップ」です。
近年では「ネオ・シティポップ」として大人気のSuchmosやYogee New Wavesはもちろん、韓国にまでリバイバルが飛び火して、こんなグループも出てきてます。
se so neon(セソニョン)というバンドです。
まだまだ若いのに、異常にオーラというか貫禄があります。
蒸し暑い夜に効きますね。チルアウトチルアウト。
しかし私が強くオススメしたいのが、シティポップ第一世代の山下達郎です!
まずはイントロのベース!
今でも充分通用するであろうメロウなファンキーサウンドと、力強くも涼やかなボーカルの組み合わせは絶品です。
海外ではレア・グルーヴ(ジャンル問わず、マイナーだけど踊れるレコードの総称)の名盤になってるそうです。
達郎さん。もう一回だけでいいんで、このファンキー路線でアルバム作ってください(懇願)
②インディ・ポップ
今ではある意味「王道」かもしれませんが、その辺のお洒落な兄ちゃんが作ったさりげなさ、力の抜き加減、"アンチ"ロックな姿勢がCOOLです。
Vampire Weekend - 'Oxford Comma'
雲ひとつないかのような明快なバンドサウンドに、花を添える軽妙なシンセとストリングス… あぁ、これぞ青春。
…ん?なに?
え、これもう10年前(絶望)
③ボサノヴァ
ブラジルという年中蒸し暑い国には、「サンバ」という、実に暑苦しい伝統音楽があります。
「今更だけど、暑苦しすぎてこりゃかなわん」ということで、今から60年ほど前に誕生したのが、ボサノヴァ(英語でニューウェーブみたいな意味)です。
巨匠アントニオ・カルロス・ジョビンの繊細なギターと囁くような歌声は、サンバの真逆をいってますが、複雑なリズムはサンバを継承しています。
[1] Antonio Carlos Jobim - The Girl From Ipanema
超有名な「イパネマの娘」。
ジョビン本人の弾き語りもいいですが、涼やかなオルガンの音色とボッサのリズムに身を任せて、「音楽浴」してみませんか?
Walter Wanderley- The Girl From lpanema
ボッサオルガニストの第一人者(一人しか知りませんが笑)ワルター・ワンダレイ。電子オルガンの無表情な音が、ボサノヴァに合うんです。
「あら、空調ガンガンに効いたスーパーのBGMみたい」と思われるしれませんが…奥さん、よくきいてください。
彼のオルガンプレイは意外とアツいんですよ!
④レゲエ
間違っても、アップテンポのダンスホールレゲエや、汗くさいジャパレゲをかけてはいけません。
そう、レゲエといえば、有無を言わさずボブ・マーリーです。
かのエリック・クラプトンに見出されたボブ・マーリーは、自国の音楽を、より洗練された形で全世界にアピールしました。
レゲエの一般的なイメージを一度捨てて、クールで奥行感のあるバンドサウンドをご賞味下さいませ。
この曲は本当にメロディーとコード進行が素敵なんですが、もっと注目してほしいのが、リズム隊の動きです。
レゲエにおけるベースやドラムスの独特の「間のとり方」は、日本の「詫び寂び」にも通じるように思います。明らかにロックにはない魅力です!
⑤ポスト・ハードコア
ワクチン療法ではないですが、暑いんならとことん暑苦しいやつもってこい!というドMな方には、「ポスト・ハードコア」を。
ポスト・ハードコアとは、ハードコアパンクを基調に、転調や変拍子などプログレッシブ・ロックの要素を盛り込んだ、こってりマシマシ系音楽ジャンルです。
つまりロック界の「家系ラーメン」といったところです。
イマの邦楽ロックでいうと、「なんちゃらラスベガス」こと、Fear,and ろッ… なんちゃらラスベガス。
ごった煮闇鍋サウンドは、ポストハードコアの影響大。
Fear, and Loathing in Las Vegas / Return to Zero
何この人たちコワい!
あームリムリ、暑苦しい!
近寄りたくない!!
…あ、やばい。
クセになってきました(再生4回目)。
いかがでしたでしょうか?
少しでも皆さんの体感温度を緩和できればと願いつつ、暑中見舞いに代えさせていただきます。
明日からまた暑い日が続きますが、お体には十分気をつけください。
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【追悼・丸山晴茂】「ロックバンド」としてのサニーデイ・サービスを担った男
先日、いつものように目的もなくネットを徘徊していると、あるニュースが目に飛び込んできました。
それは、サニーデイ・サービスのドラマー、
サニーデイ・サービスはここ最近リリースペースが異様に早く、
サニーデイ・サービスに欠かせない存在
訃報を知ったとき、脳裏に浮かんだのは、
もっと具体的に言うと、「baby blue」の冒頭アコギパートからバンドサウンドに移行する際の、「寝ぼけまなこ」のフィルインと、「埃っぽい」
亡くなった人の顔に泥を塗るような言い回しで申し訳ないのですが
それぐらい、彼のプレイには特別感がありました。
私は、丸山晴茂のドラムがなければ、「ロックバンド」としてのサニーデイ・
ご存知の通り、2016年のアルバム「DANCE TO YOU」では、丸山氏はほとんど参加していないのですが、
実際に叩いてなくても、いつも晴茂くんがいてバンドを動かしてるような感じがする。どこかで見えない力が働いてる。自分でドラム叩いてても、晴茂くんだったらこう叩くんだろうなって思いながらやってる
曽我部のこの感情には、なんとなく共感できるものがあります。
インタビューにあるように、「桜super love」の歌詞に出てくる
「きみがいないことは きみがいることだなぁ」
という印象的なフレーズが、まさしくこの心情をうまく言い表しています。
つまり、「不在」=「喪失」ではなく、「不在」であることがそのものの「存在感」を際立たせる、ということを、曽我部は悟ったのです。
そしてこのエピソードは、ビートルズの「リンゴ・スター不在事件」を思い起こさせます。
アルバムレコーディング期間中に、ドラマーのリンゴ・スターが、ビートルズ脱退を宣言しました(結局すぐ戻るのですが)。
スケジュールの関係上、リンゴ不在のまま、ポール・マッカートニーが、かわりにドラムスティックを握り、レコーディングを続行したという名エピソードです。
私は、リンゴ・スターをロック・ポップス界最高のドラマーだと確信しています。
しかし、この「Dear Prudence」におけるポールは、リンゴのドラミングを完璧にシミュレートしていると思います。
このリンゴとポールの関係性と同じように、常に一緒にいたこと、プレイを間近にみていたことで、曽我部は、丸山晴茂の「フィーリング」が染みついていたのではないでしょうか。
そして、丸山の「フィーリング」こそが、「サニーデイ・サービス」というロックバンドの必要条件なのではないかと思っています。
丸山晴茂はサニーデイ・サービスというバンドの中に、今も息づいています。
そしてバンドは、丸山晴茂に支えられながら、これからもずっと、続いてくことでしょう。
ご冥福をお祈りいたします。