ロックバンドのポップソング 名曲ベスト5
売れっ子のロックバンドは、いくら才能があっても、ツアーに忙殺されながら、作曲やレコーディングを繰り返しています。
日々のフラストレーションを糧に、「アイツ殴りたい」とか「あの子とキスしたい」とか「お休みください」みたいなロックソングを、絞り出すように作曲してるんです。(たぶん)
さて、そんな宿命を持ったロックバンドが、ふとした拍子に、何の気負いもなく、魔法のような「ポップソング」を仕上げてしまうときがあります。
奇しくもそれがバンドの代表作になってしまうことも。
そんなロックバンドの、奇跡のようなポップソングに愛をこめて、ロックバンドのポップソングBEST5を作ってみました!
第5位 くるり 赤い電車
当時バッキバキに脂の乗っていたくるりですが、京浜電鉄のテーマソングとして、スポンサーの意向にジャストミートさせてきてます。すごいぞ岸田。
テーマソングとして優れているだけでなく、シンプルな編曲ながらも、ベースが気持ちよさそうに勝手気ままな動きをしていたり、間奏には変な笛(?)が入っていたりと、ポップスとしての聴きごたえも抜群。
そして何より、曲の持つ雰囲気が素晴らしい。
こんなにフラットな気持ちになれる曲を私は知りません。
第4位 オアシス Don't Look Back In Anger
Oasis - Don't Look Back In Anger (Official Video)
オアシスのボーカルといえば、稀代のロックヴォーカリスト、リアム・ギャラガーですが、この曲は、リアムの兄で、バンドの作曲担当ノエル・ギャラガーがマイクを握っています。
ノエルはもちろん弟リアムのヴォーカリストとしての器量には一目置いていますが、自分が作った中でも「これぞ!」って曲ができたら「あ、これオレ歌うわ」ってマイク奪っちゃうそうです。
サウンド面では、正直これといって聴かせる部分はなく、バンド全体が「歌」を聴かせることに専念している様子が伺えます。
はじめから終わりまで途切れず続く「珠玉のメロディーライン」を「黙って聴く」か、「熱唱する」か、ふたつにひとつです。
第3位 ジーザス&メリーチェイン Just Like Honey
知る人ぞ知る、イギリスのオルタナロックバンドJ&MC。
オアシスと同じクリエイション・レコーズ所属のバンドで、オアシスは彼らの後輩にあたります。
デビュー当時は客に背を向けて演奏したり、ライブを20分足らずで切り上げて帰ったりと、クリエイションのイメージ戦略もあったでしょうが、「新世代のセックス・ピストルズ」と揶揄されるほどに、どうしようもない連中でした。
しかし、後に「シューゲイザー」と呼ばれるジャンルの始祖として再評価されたり、後にプライマル・スクリームを結成するボビー・ギレスビーを一時期ドラマーとして擁していたりと、意外とすんげーバンドなんです。
しかし何にせよ、デビュー当初は特に、耳をつんざくように「ノイジー」な音楽を奏で、あきれるほどに「投げやり」な態度で、ポップミュージックとは無縁といえる存在でした。
しかし、一曲だけ魔法のようなポップソングを、彼らは生み出しました。
The Jesus And Mary Chain - Just Like Honey (Lost in Translation OST)
ソフィア・コッポラの映画『ロスト・イン・トランスレーション』のクライマックスで流れるイントロは、鳥肌ものです。コッポラさんいつもながら選曲憎すぎィ!!
リヴァーヴの効いたスネアの「広がり感」と、音程を外したような不愛想なベースラインがフックになっていて、この曲のグレードをぐっと引き上げています。
そういえばスピッツのトリビュートアルバムのタイトルの元ネタはたぶんコレですよね。(スピッツのルーツはシューゲイザーですし。)
第2位 BUMP OF CHICKEN "ray"
メッセージを大切にした、ローファイなオルタナバンドだったバンプ。
転びながら、膝すり剥きながら、ホコリにまみれながらもバタバタと立ち上がる、わが青春のバンプ。
いつの間にかこんなに「ハイファイ」になってました。
BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU「ray」
美麗なコンピュータ・グラフィック。
シーケンサーと同期したバンド演奏。
あまりに多くの「冒険的試み」に目が眩み、「こんなの俺らのバンプじゃ・・・」と思いかけました。
いや待てよ。思えば、もともと彼らはアニメーションとは縁深かったし、「冒険」はBUMP OF CHICKENの大きなテーマだったはず。
よくよく聴いてみると、「信念の旗」はぜんぜん折れてなかったよ。
第1位 フジファブリック 若者のすべて
幽体離脱してるみたいに「心ここにあらず」なボーカルと、ダラけきったように間延びしたサビのメロディー。
…のはずなんだけど、なんでこんなに胸を締め付けられるのかなぁ。
リリースから10年経た今、すでに何組ものアーティストにカバーされている揺るぎない名曲です。
しかしカバーされる度に、志村正彦のボーカルと、彼に寄り添うように調和のとれたバンドサウンドの「特別さ」が身に沁みます。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
ロックバンドから生まれたポップソングって、ポップス職人が仕上げた「多くの作品のうちのひとつ」にはない、オンリーワン感がありますよね。
ぜんぶ乗り越えてきた上で、生まれてきたんだよっていう静かな「説得力」と、何もかも許してくれそうな「包容力」。不思議とそんなパワーに満ちているような気がします。
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ロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラック
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