音楽の聴かず嫌い。 ~洋楽ロック完全攻略メソッド~

「良さがわからない」音楽(主に洋楽ロック)のHow to listenをレクチャーするブログ。

ロックとは何か? 人類最後のロックミュージック入門

 

 

「ロックと何か」

 

それは、プロのミュージシャンであっても答えに窮する難題です。

 

「ギターがギュイギュイいってたらロックなんでしょ?」

「NO!ロックは反抗の精神だ!F●CK!」

「いやいや、ロックとは自由の精神!」

「ロックとは、イキりたった●●である。」

 

『ロックとは何か』という問いに対して、いろんな人が意見してて、手垢まみれになっていますが、どれもこれも精神論に終始してしまってる印象です・・・

 

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 ロックを精神論で語るのもいいですが、

 

そもそもロックって「音楽」でしょ?

 

 

ということを声を大にして言いたいです。

 

 

今回は、ロックミュージックの音楽的側面を浮き彫りにして、「ロックとは何か」という問いに、真正面から斬り込んでいきたいと思います!(強気!)

 

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カギは”Too Match”にあり。

 

 

精神論的なものの他に、ロックについて、こんな解説をよく見受けられます。

 

『ロックとは、ボーカル・エレキギターエレキベース・ドラムセットを主として2~5人程度で演奏される音楽で…etc.

 

…確かに間違ってはいないですよね。

 

例えば、「ドラム」の「ドッタンドドタン」というリズム(いわゆる8ビート)なくして、ロックを成り立たせるのは至難の業です。

 

ですが、楽器編成や、8ビートのリズムだけが「ロック」の条件であれば、同じフォーマット(つまりバンドセットの)「ポップス」も同じく「ロック」ということになってしまいますよね。

 

ということは、他に「ロック」と「ポップス」を区別する要素があるはず。

 

それはズバリ"Too Match”であるかどうか、です。

 

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"Too Match"とは「度が過ぎる」とか「やりすぎ」とかいう意味ですが、これこそが「ロックミュージック」を決定づける要素なのです。

 

 

『んだよ!結局精神論じゃねえか!!』

 

 

いえいえ、違うんです。

あくまで「バンドサウンド」が"Too Match"であるかどうか、なんです。

 

決して「パフォーマンス」や「言動」の度が過ぎる、という意味ではありませんので、ご注意ください。

 

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「幸福論」で比較

 

ロックを規定するのは、「楽器編成」でも「ドラムのリズム」でも「ロックなパフォーマンス」でもありません。

"Too Match"なバンドサウンドです。

 

さてさて、バンドサウンドが"Too Match"だとかそうじゃないとかっめ、具体的にどういうことなのでしょうか?

百聞は一見に如かず、ということで一度比較してみましょう。

 

 


椎名林檎 - 幸福論

 

椎名林檎の言わずと知れたデビューシングルです。

以後はエキセントリックなイメージで売っていくことになりますが、ストリングスやチャイムなどを駆使したキメ細やかなアレンジが施されていて、非常に洗練された、小奇麗な「ポップス」に仕上がっています。

ノイジーエレキギターが、終始オモシロイ動きをしていますが、音量バランス的にも小さめで、あくまでボーカルの伴奏という位置づけ。

 

この「幸福論」のあと、「ここでキスして」「歌舞伎町の女王」という傑作シングルをぶち込み、「驚異の新人シンガーソングライター」として音楽業界の注目をかっさらった椎名林檎

そして満を持してリリースされたのが1stアルバム無罪モラトリアムです。

 

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム

 

 

この「無罪モラトリアム」は最終的にミリオンセラーを叩き出しましたが、リリース当時はあらゆる方面で賛否両論を巻き起こしました

特に、先ほど紹介した「幸福論」の、アルバムバージョンには多くの賛否の嵐が巻き起こりました。

 

幸福論(悦楽編)

 

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ノイズにまみれたギターサウンドに、「拡声器」でエフェクトをかけたボーカル・・・これこそがまさにロックの"Too Match"サウンドです。

特に河村カースケの叩くドタバタしたドラムは、星野源の「恋」で叩いてるのと同じ人とは思えません。

 

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Youtubeには「幸福論(悦楽編)」のスタジオ音源がなかったので、お見せしたのは最近のライブ映像です。

だいぶ今風に「洗練」されていますが、スタジオバージョンはもっと"Too Match"です。

 

たまに家族の前で「無罪モラトリアム」のCDをかけてみるのですが、いつもこの曲の最後のシャウトで、奥さんに再生停止されてしまいます。。

 

気になる方は以下の音源をどうぞ。

 

幸福論

幸福論

  • provided courtesy of iTunes

 

 

『シングルのポップなアレンジと伸びやかなメロディーを、なぜ台無しにしてしまったのー!!』

 

私も最初はそう思いました。

はじめのうちは、この曲だけこっそりスキップして聴いてました笑

 

ですが、今はシングルと同じくらい、アルバムバージョンも大好きです。

 

シングルの「洗練されたアレンジ」は15年以上隔てた現在でも十分通用します

しかし、アルバムバージョンの「"Too Match"なアレンジ」からは、ロックの「初期衝動※」がビリビリ伝わってくるのです。

 

※「初期衝動」についてはロックの「精神的な側面」にあたるので、今回は割愛します。

 

 

各パートの位置づけの違い

 

 

「ロック」と「ポップス」の音楽的な違いについて一度まとめてみましょう。

 

「ロック」・・・

バンドの各パートが強い主張("Too Match"な動き)をしながらも楽曲を崩さないギリギリ感のあるアンサンブルを楽しむ。

 

「ポップス」・・・

バンドの各パートはあくまで「伴奏」であるという考えのもと、楽曲や歌手を引き立てるために外部アレンジを多用することが多い。ボーカルやメロディーを中心に、多彩で質の高いアレンジを楽しむ。

 

 

 

パート別"Too Match"

 

ロックと言えば「エレキギター」というイメージですが、ベースやドラムが、主役を張るくらいに"Too Match"な動きをすることで、「ロック」サウンドを生み出すパターンも往々にしてあります。

パートごとに確認していきましょう。

 

ドラムの"Too Match"

 


andymori "FOLLOW ME"

バンドサウンドをぐいぐい前進させていくような「推進力」感じるドラミング。ベースやギター、ボーカルもすべてドラムの勢いに突き動かされている感じ…まさに〝FOLLOW ME〟です!

 

 

ベースの"Too Match"

 

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マグマのように地を這うベースサウンド

頑なに刻み続けるベースフレーズは、「ロック」の鼓動を聴いているようです。

 

 

ギターの"Too Match"

 


N'夙川ボーイズ - 物語はちと?不安定

 

ほぼギターのリズムのみで進行していく構成には耳を奪われます。

セクシーでグルーヴィなギターリフが淡々と続きますが… "Too Match"なカタストロフィが待っています。

 

 

ボーカルの"Too Match"

 

 


Oasis - Some Might Say - Official Video

 

歌声一つで"Too Match"な存在感を放ってしまうという輩もいます。オアシスのリアム・ギャラガーもその一人。

自分の歌声をより効果的に聴かせるために語尾を伸ばしたり発音をかえたりしてます。

 

 

さいごに

 

ロックを生み出す"Too Match"の概念はおわかりいただけましたでしょうか。

 

弾き語りでもオアシスのリアムが歌えばロックのフィーリングが生まれるし、エレキギターの替わりにバンジョーを使っても、ヘヴィーなロックドラムがあれば、ロックは成立するということです。

 

youtu.be

 

今回は、「ロック」と「ポップス」の違いという観点から、「ロックとは何か?」を浮き彫りにしました。

 

結論をひっくり返すようですが、「ロック」と「ポップス」に単純な区分けはできません。冒頭の椎名林檎の幸福論(シングルver)は、良質なポップスでもありますが、聴き方によっては「ロック」にも聴こえます。

 

音楽はグラデーションです。

1つのアーティスト、1つの楽曲の中に、いろんなジャンルの音楽が混ざり合っているのが、「ポップミュージック」なんです。

 

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さいごのさいごに

 

 

最後の最後に、蛇足(Too Match!)かもしれませんが、ロックの肝は"Too Match"というヒントをもらった曲で締めましょう。

 

この時代にギターのフィードバックノイズを積極的に取り入れたビートルズは、やっぱスゴイ。

 

youtu.be

 

 

 

無罪モラトリアム

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幸福論

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