音楽の聴かず嫌い。 ~洋楽ロック完全攻略メソッド~

「良さがわからない」音楽(主に洋楽ロック)のHow to listenをレクチャーするブログ。

ロックバンドのアコースティックソング 名曲ベスト5

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エレキギターの老舗・ギブソン社の経営破綻に象徴されるように、近年エレキギターの売れ行きが減少の一途を辿っています

 

数々の名器名演を生み出してきたギブソンの倒産は非常に残念ですが、前向きに捉えるなら、これは楽器の選択肢の多様化によるものではないでしょうか?

 

なぜなら、エレキギターに替わり、アコースティックギターの販売数はここ10年で大幅に増加しているからです。

 

soundrope.com

 

昔は若者が「音楽やりたい!」って思い立ったら、エレキギターに人気が集中していましたが、崎山蒼志くんはじめ、アコースティックギターを生業とする人たちが最近増えてきているように感じます。

アメリカではロックバンドがアコースティックセットでスタジオライブを行うMTV unpluggedなんて番組も有名ですよね。

 

 

さて、そんな「アコギ再燃」の流れを受けまして、ロックバンドのアコースティックソングBEST5を発表したいと思います!

 

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第5位 クリープハイプ / 傷つける

 

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シングル「憂、燦々」のカップリングとして収録されていた、割とマイナーなはずの曲なのですが、Youtubeでカバーされまくってる超人気曲です。

基本的にはギター一本の弾き語りですが、クリープハイプには珍しく、途中ストリングスやピアノが入ります。

歌やメロディーはもちろん、普段の「ロック」な彼らからは想像がつかないほどのミニマルなアレンジ。

「正直クリープハイプって苦手!」という方こそ是非

 

 

傷つける

傷つける

  • provided courtesy of iTunes

  

 

 

アコギの乾いた音と繊細な響きが、歌の表情にも大きく影響を与えるのが、アコースティックソングの魅力です。

 

 

 

第4位 Galileo Galilei  / Sea and The Darkness

 

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ガリレオ・ガリレイのアコースティックソングといえば、「管制塔(Acoustic)」が有名ですが、nusk的には後期ガリレオの熟成された音が詰まった「Sea and The Darknessがオススメ。

 

youtu.be

 ※1:40以降は別の曲です。

 

1分程度の短い曲ですが、素朴だった「管制塔」に比べ、荒波に揺られながらも抗うような、うねりのあるグルーヴは、USのオルタナバンドB.R.M.Cのアコースティックナンバーをも思わせる凄みがあります。

バンド力の爆発的な向上を感じさせます。

 

youtu.be

 

 

 

第3位 ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ /  Sunday Morning

 

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第3位はニューヨークの伝説的ロックバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドと女優のニコ、そして画家のアンディー・ウォーホルが「コラボ」した芸術作品ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ」の冒頭を飾る楽曲です。

 

 

youtu.be

 

このアルバムのアートワークはものすごく有名ですが、肝心の中身を知らない方は多いはず。

 

しかし、オルタナティヴ・ロックを演奏するアーティストの中で、このアルバムの存在を無視できる人間はいないでしょう

 

アメリカでは、このアルバムに影響を受けたアーティストだけを招聘したフェス「オール・トゥモローズ・パーティーズ」が定期開催されていたりと、このアルバムを起点にオルタナティヴ・ロックの歴史が始まったといっても過言ではありません。

 

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と、あらゆる前情報から、期待を胸に再生ボタンを押すと、この冒頭1曲目で必ず肩透かしを食らうという一連の流れは洋楽ロックリスナーの必ず通る道です笑

 

聴こえてくるのはチェレスタ(ピアノの原型のような楽器)のレトロな伴奏をバックに、無表情に歌い上げるボーカル。

このアルバムがあなたの脳に染みついた暁には、素朴なチェレスタの背後に忍ぶヴァイオリンの「狂気」が蠢くように響くのです・・・(ホラー風)

 

 

 

 

第2位 ザ・ビートルズ / Michelle

 

 

youtu.be

 

先ほどのSunday Morningとはまた違った、独特の憂いを帯びた名曲です。

シンプルなのになぜか目がくらむようなサイケな感覚を呼び起させるのは、へんてこなベースラインと、脈絡なく挿入されるフランス語の歌詞のせいでしょうか。

シンプルな中にもとんでもない密度を秘めた恐るべきアコースティックソングです。

 

 

 

第1位 はっぴいえんど / 風をあつめて

 

 


【高音質】はっぴいえんど 風をあつめて

 

ロックの名曲というよりは、もはや日本のポップスの代表曲と呼べるくらいお茶の間に浸透している曲ですよね。

ソフィア・コッポラの映画で流れたときはビックリしました。

時代の匂いや空気を呼び覚ますような歌詞と、「すきま風」のようなアレンジ、そして朴訥とした歌声とメロディー・・・ 

 

「一体何がスゴイのか」というと、やはり言葉を失ってしまいます。

 

彼らが「日本語ロック」を背負ってくれたおかげで、今の邦楽ロックが存在するのは間違いないですが、そんな気概を毛ほども感じさせないところがはっぴいえんどのイチバンの魅力です。

 

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さいごに

 

今回は「ロックバンドのアコースティックソング」というお題の記事でした。

「ロックバンドのポップソング」というテーマの記事も書きましたので、よろしければご覧ください。

 

nusk.hatenablog.com

 

 

締めに「番外編」ということで、これは「ロック」ではありませんが、私が愛してやまないアコースティックソングを。

 

youtu.be

 

レゲエを代表するアーティスト、ボブ・マーリーの弾き語りソングです。

優しくも気高い歌声、そして弾き語りで際立つメロディーセンスに圧倒されます。

何よりすごいのが、レゲエのリズムを刻んでいないのにもかかわらずレゲエのフィーリングを感じさせるってところ。

 

 ところで、どなたかボブ・マーリーの弾き語りアルバム知りませんか?

ブートレグでもいいんで教えてください(懇願)

 

 

 

ラバー・ソウル(紙ジャケット仕様)

ラバー・ソウル(紙ジャケット仕様)

 
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ

ヴェルヴェット・アンダーグラウンド&ニコ

 
風街ろまん

風街ろまん

 

 

 

 

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ロックバンドのポップソング 名曲ベスト5

 

 

売れっ子のロックバンドは、いくら才能があっても、ツアーに忙殺されながら、作曲やレコーディングを繰り返しています。

日々のフラストレーションを糧に、「アイツ殴りたい」とか「あの子とキスしたい」とか「お休みください」みたいなロックソングを、絞り出すように作曲してるんです。(たぶん

 

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さて、そんな宿命を持ったロックバンドが、ふとした拍子に、何の気負いもなく、魔法のような「ポップソング」を仕上げてしまうときがあります。

奇しくもそれがバンドの代表作になってしまうことも。

 

 

そんなロックバンドの、奇跡のようなポップソングに愛をこめて、ロックバンドのポップソングBEST5を作ってみました!

 

 

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第5位 くるり 赤い電車

 

当時バッキバキに脂の乗っていたくるりですが、京浜電鉄のテーマソングとして、スポンサーの意向にジャストミートさせてきてます。すごいぞ岸田。

 


くるり - 赤い電車

 

テーマソングとして優れているだけでなく、シンプルな編曲ながらも、ベースが気持ちよさそうに勝手気ままな動きをしていたり、間奏には変な笛(?)が入っていたりと、ポップスとしての聴きごたえも抜群

 

そして何より、曲の持つ雰囲気が素晴らしい。

こんなにフラットな気持ちになれる曲を私は知りません。

 

 

 

第4位 オアシス  Don't Look Back In Anger

 

 


Oasis - Don't Look Back In Anger (Official Video)

 

オアシスのボーカルといえば、稀代のロックヴォーカリストリアム・ギャラガーですが、この曲は、リアムの兄で、バンドの作曲担当ノエル・ギャラガーがマイクを握っています。

 

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ノエルはもちろん弟リアムのヴォーカリストとしての器量には一目置いていますが、自分が作った中でも「これぞ!」って曲ができたら「あ、これオレ歌うわ」ってマイク奪っちゃうそうです。

 

サウンド面では、正直これといって聴かせる部分はなく、バンド全体が「歌」を聴かせることに専念している様子が伺えます。

はじめから終わりまで途切れず続く「珠玉のメロディーライン」を「黙って聴く」か、「熱唱する」か、ふたつにひとつです。

 

 

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第3位 ジーザス&メリーチェイン Just Like Honey

 

 

知る人ぞ知る、イギリスのオルタナロックバンドJ&MC。

 

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オアシスと同じクリエイション・レコーズ所属のバンドで、オアシスは彼らの後輩にあたります。

デビュー当時は客に背を向けて演奏したり、ライブを20分足らずで切り上げて帰ったりと、クリエイションのイメージ戦略もあったでしょうが、「新世代のセックス・ピストルズと揶揄されるほどに、どうしようもない連中でした。

 

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しかし、後にシューゲイザーと呼ばれるジャンルの始祖として再評価されたり、後にプライマル・スクリームを結成するボビー・ギレスビーを一時期ドラマーとして擁していたりと、意外とすんげーバンドなんです。

 

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しかし何にせよ、デビュー当初は特に、耳をつんざくように「ノイジー」な音楽を奏で、あきれるほどに「投げやり」な態度で、ポップミュージックとは無縁といえる存在でした。

 

しかし、一曲だけ魔法のようなポップソングを、彼らは生み出しました。

 

 


The Jesus And Mary Chain - Just Like Honey (Lost in Translation OST)

 

ソフィア・コッポラの映画ロスト・イン・トランスレーションのクライマックスで流れるイントロは、鳥肌ものです。コッポラさんいつもながら選曲憎すぎィ!!

 

リヴァーヴの効いたスネアの「広がり感」と、音程を外したような不愛想なベースラインがフックになっていて、この曲のグレードをぐっと引き上げています。

 

そういえばスピッツのトリビュートアルバムのタイトルの元ネタはたぶんコレですよね。(スピッツのルーツはシューゲイザーですし。)

 

 

 

第2位  BUMP OF CHICKEN  "ray"

 

メッセージを大切にした、ローファイなオルタナバンドだったバンプ

転びながら、膝すり剥きながら、ホコリにまみれながらもバタバタと立ち上がる、わが青春のバンプ

 

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いつの間にかこんなに「ハイファイ」になってました。

 

 


BUMP OF CHICKEN feat. HATSUNE MIKU「ray」

 

 

美麗なコンピュータ・グラフィック。

シーケンサーと同期したバンド演奏。

そして「VOCALOID/初音ミク」との共演。。

 

あまりに多くの「冒険的試み」に目が眩み、「こんなの俺らのバンプじゃ・・・」と思いかけました。

いや待てよ。思えば、もともと彼らはアニメーションとは縁深かったし、「冒険」はBUMP OF CHICKENの大きなテーマだったはず。

 

よくよく聴いてみると、「信念の旗」はぜんぜん折れてなかったよ。

 

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第1位 フジファブリック 若者のすべて

 

 

 

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幽体離脱してるみたいに「心ここにあらず」なボーカルと、ダラけきったように間延びしたサビのメロディー。

…のはずなんだけど、なんでこんなに胸を締め付けられるのかなぁ

 

リリースから10年経た今、すでに何組ものアーティストにカバーされている揺るぎない名曲です。

しかしカバーされる度に、志村正彦のボーカルと、彼に寄り添うように調和のとれたバンドサウンドの「特別さ」が身に沁みます。

 

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さいごに

 

いかがでしたでしょうか?

ロックバンドから生まれたポップソングって、ポップス職人が仕上げた「多くの作品のうちのひとつ」にはない、オンリーワン感がありますよね。

 

 

ぜんぶ乗り越えてきた上で、生まれてきたんだよっていう静かな「説得力」と、何もかも許してくれそうな「包容力」。不思議とそんなパワーに満ちているような気がします。

 

 

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サイコ・キャンディ

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ロスト・イン・トランスレーション オリジナル・サウンドトラック

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TEENAGER

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ロックとは何か? 人類最後のロックミュージック入門

 

 

「ロックと何か」

 

それは、プロのミュージシャンであっても答えに窮する難題です。

 

「ギターがギュイギュイいってたらロックなんでしょ?」

「NO!ロックは反抗の精神だ!F●CK!」

「いやいや、ロックとは自由の精神!」

「ロックとは、イキりたった●●である。」

 

『ロックとは何か』という問いに対して、いろんな人が意見してて、手垢まみれになっていますが、どれもこれも精神論に終始してしまってる印象です・・・

 

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 ロックを精神論で語るのもいいですが、

 

そもそもロックって「音楽」でしょ?

 

 

ということを声を大にして言いたいです。

 

 

今回は、ロックミュージックの音楽的側面を浮き彫りにして、「ロックとは何か」という問いに、真正面から斬り込んでいきたいと思います!(強気!)

 

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カギは”Too Match”にあり。

 

 

精神論的なものの他に、ロックについて、こんな解説をよく見受けられます。

 

『ロックとは、ボーカル・エレキギターエレキベース・ドラムセットを主として2~5人程度で演奏される音楽で…etc.

 

…確かに間違ってはいないですよね。

 

例えば、「ドラム」の「ドッタンドドタン」というリズム(いわゆる8ビート)なくして、ロックを成り立たせるのは至難の業です。

 

ですが、楽器編成や、8ビートのリズムだけが「ロック」の条件であれば、同じフォーマット(つまりバンドセットの)「ポップス」も同じく「ロック」ということになってしまいますよね。

 

ということは、他に「ロック」と「ポップス」を区別する要素があるはず。

 

それはズバリ"Too Match”であるかどうか、です。

 

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"Too Match"とは「度が過ぎる」とか「やりすぎ」とかいう意味ですが、これこそが「ロックミュージック」を決定づける要素なのです。

 

 

『んだよ!結局精神論じゃねえか!!』

 

 

いえいえ、違うんです。

あくまで「バンドサウンド」が"Too Match"であるかどうか、なんです。

 

決して「パフォーマンス」や「言動」の度が過ぎる、という意味ではありませんので、ご注意ください。

 

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「幸福論」で比較

 

ロックを規定するのは、「楽器編成」でも「ドラムのリズム」でも「ロックなパフォーマンス」でもありません。

"Too Match"なバンドサウンドです。

 

さてさて、バンドサウンドが"Too Match"だとかそうじゃないとかっめ、具体的にどういうことなのでしょうか?

百聞は一見に如かず、ということで一度比較してみましょう。

 

 


椎名林檎 - 幸福論

 

椎名林檎の言わずと知れたデビューシングルです。

以後はエキセントリックなイメージで売っていくことになりますが、ストリングスやチャイムなどを駆使したキメ細やかなアレンジが施されていて、非常に洗練された、小奇麗な「ポップス」に仕上がっています。

ノイジーエレキギターが、終始オモシロイ動きをしていますが、音量バランス的にも小さめで、あくまでボーカルの伴奏という位置づけ。

 

この「幸福論」のあと、「ここでキスして」「歌舞伎町の女王」という傑作シングルをぶち込み、「驚異の新人シンガーソングライター」として音楽業界の注目をかっさらった椎名林檎

そして満を持してリリースされたのが1stアルバム無罪モラトリアムです。

 

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム

 

 

この「無罪モラトリアム」は最終的にミリオンセラーを叩き出しましたが、リリース当時はあらゆる方面で賛否両論を巻き起こしました

特に、先ほど紹介した「幸福論」の、アルバムバージョンには多くの賛否の嵐が巻き起こりました。

 

幸福論(悦楽編)

 

youtu.be

 

ノイズにまみれたギターサウンドに、「拡声器」でエフェクトをかけたボーカル・・・これこそがまさにロックの"Too Match"サウンドです。

特に河村カースケの叩くドタバタしたドラムは、星野源の「恋」で叩いてるのと同じ人とは思えません。

 

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Youtubeには「幸福論(悦楽編)」のスタジオ音源がなかったので、お見せしたのは最近のライブ映像です。

だいぶ今風に「洗練」されていますが、スタジオバージョンはもっと"Too Match"です。

 

たまに家族の前で「無罪モラトリアム」のCDをかけてみるのですが、いつもこの曲の最後のシャウトで、奥さんに再生停止されてしまいます。。

 

気になる方は以下の音源をどうぞ。

 

幸福論

幸福論

  • provided courtesy of iTunes

 

 

『シングルのポップなアレンジと伸びやかなメロディーを、なぜ台無しにしてしまったのー!!』

 

私も最初はそう思いました。

はじめのうちは、この曲だけこっそりスキップして聴いてました笑

 

ですが、今はシングルと同じくらい、アルバムバージョンも大好きです。

 

シングルの「洗練されたアレンジ」は15年以上隔てた現在でも十分通用します

しかし、アルバムバージョンの「"Too Match"なアレンジ」からは、ロックの「初期衝動※」がビリビリ伝わってくるのです。

 

※「初期衝動」についてはロックの「精神的な側面」にあたるので、今回は割愛します。

 

 

各パートの位置づけの違い

 

 

「ロック」と「ポップス」の音楽的な違いについて一度まとめてみましょう。

 

「ロック」・・・

バンドの各パートが強い主張("Too Match"な動き)をしながらも楽曲を崩さないギリギリ感のあるアンサンブルを楽しむ。

 

「ポップス」・・・

バンドの各パートはあくまで「伴奏」であるという考えのもと、楽曲や歌手を引き立てるために外部アレンジを多用することが多い。ボーカルやメロディーを中心に、多彩で質の高いアレンジを楽しむ。

 

 

 

パート別"Too Match"

 

ロックと言えば「エレキギター」というイメージですが、ベースやドラムが、主役を張るくらいに"Too Match"な動きをすることで、「ロック」サウンドを生み出すパターンも往々にしてあります。

パートごとに確認していきましょう。

 

ドラムの"Too Match"

 


andymori "FOLLOW ME"

バンドサウンドをぐいぐい前進させていくような「推進力」感じるドラミング。ベースやギター、ボーカルもすべてドラムの勢いに突き動かされている感じ…まさに〝FOLLOW ME〟です!

 

 

ベースの"Too Match"

 

youtu.be

マグマのように地を這うベースサウンド

頑なに刻み続けるベースフレーズは、「ロック」の鼓動を聴いているようです。

 

 

ギターの"Too Match"

 


N'夙川ボーイズ - 物語はちと?不安定

 

ほぼギターのリズムのみで進行していく構成には耳を奪われます。

セクシーでグルーヴィなギターリフが淡々と続きますが… "Too Match"なカタストロフィが待っています。

 

 

ボーカルの"Too Match"

 

 


Oasis - Some Might Say - Official Video

 

歌声一つで"Too Match"な存在感を放ってしまうという輩もいます。オアシスのリアム・ギャラガーもその一人。

自分の歌声をより効果的に聴かせるために語尾を伸ばしたり発音をかえたりしてます。

 

 

さいごに

 

ロックを生み出す"Too Match"の概念はおわかりいただけましたでしょうか。

 

弾き語りでもオアシスのリアムが歌えばロックのフィーリングが生まれるし、エレキギターの替わりにバンジョーを使っても、ヘヴィーなロックドラムがあれば、ロックは成立するということです。

 

youtu.be

 

今回は、「ロック」と「ポップス」の違いという観点から、「ロックとは何か?」を浮き彫りにしました。

 

結論をひっくり返すようですが、「ロック」と「ポップス」に単純な区分けはできません。冒頭の椎名林檎の幸福論(シングルver)は、良質なポップスでもありますが、聴き方によっては「ロック」にも聴こえます。

 

音楽はグラデーションです。

1つのアーティスト、1つの楽曲の中に、いろんなジャンルの音楽が混ざり合っているのが、「ポップミュージック」なんです。

 

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さいごのさいごに

 

 

最後の最後に、蛇足(Too Match!)かもしれませんが、ロックの肝は"Too Match"というヒントをもらった曲で締めましょう。

 

この時代にギターのフィードバックノイズを積極的に取り入れたビートルズは、やっぱスゴイ。

 

youtu.be

 

 

 

無罪モラトリアム

無罪モラトリアム

 
幸福論

幸福論

 

 

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洋楽ファッション黒歴史 BEST5

 

突然ですが、ファッションって、素晴らしいですよね。

 

ウィンドーショッピングしてるだけでワクワクできるし、

新しい季節に新しい装い、気分があがりますよね。

 

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ただ、ファッションには「トレンド」「流行」というものがあります。

おととし流行ったこれはもう着られないな…とか。

 

そういえば、女性の「レギンス」とか「花柄パンツ」って、いつの間にか全然見かけなくなりましたよね。。

 

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また、Yahoo!知恵袋のファッションカテゴリには、

 

「MA-1っていつまで着られますか?」

「チェスターコートもうダサイですか?」

 

という質問でごった返しです。

 

 

そんな「時の残酷さ」を思い知るのがファッションの醍醐味でもありますが、「流行」の波には誰も抗えません

 

それはロックスターとて同じ

 

 

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今回は、洋楽ロックおよそ60年の歴史において、「これぞ黒歴史と呼べるファッションを、本人には大変失礼というのは重々承知の上、面白おかしくピックアップしていきたいと思います。

 

 

第5位 バーナード・サムナーさん (ニューオーダー,1984)

 


New Order live, 1984, 'Age Of Consent'

 

最近スポーツMIXをさらに進化させた「アスレジャー」なるものが流行りつつあります。

スポーツウェアと、カジュアルウェア(日常着)の境目をなくすというコンセプトらしいのですが、どうやらバーニー氏は、30年も前から「ジム通い」と「スタジオライブ」の垣根を超えていたようです。

 

 

 

第4位 ダモ鈴木さん (CAN,1971)

 


Can - Paperhouse - Live, 1971 (Remastered)

 

60年代アメリカにはフラワームーヴメントという活動が流行していまして、いわゆる「ヒッピー」のことですが、裸一貫になることも活動の一環でした。

 

ボーカリストダモ鈴木さんをみて

「うわ、ホームレスみたいな人いるわ…」

って思ったそこの貴方。

失礼なことを言わないでください。

 

コレのつい数年前までは本当にそうだったんですから。

 

 

追記:よく見ると、他のメンバーもクセが強いんです。

 

 

 

 

第3位 フィリップ・オーキーさん (ヒューマン・リーグ,1982)

 


The Human League - Love Action (I Believe In Love) from ‘Multi Coloured Swap Shop’

 

なんやその海原はるか師匠」の最終形態もしくは若かりし頃みたいな髪型!

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ファッションと同様、ヘアスタイルの流行り廃りも、「フッ」と吹けば飛んでいくほどに儚いのです。

 

 

 

番外編 ベズさん (ハッピー・マンデーズ,1991)

 


happy mondays werchter 1991

 

ランク外の番外編。

非常にミニマルなコーデながら、ワイドパンツと、オレンジ色のマラカスが今っぽい、時代をこえたコーデです。

 

…え、彼は何者かって?

彼は、ハッピー・マンデーズというバンドの「象徴」、今でいうゆるキャラです。(彼の仕事はリズムに乗ってテキトーに踊ること)

 

さて、この30秒足らずの映像、いったいどういう意図で撮影してるのかは不明ですが、動物の生態観察みたいな撮り方、お願いだからやめてあげて・・・

 

 

第2位 モリッシーさん (ザ・スミス,1984)

 


The Smiths - Barbarism Begins At Home (Live)

 

腰に巻いてるのはなんと「花束」

なんとも斬新なアクセサリーです。

でも、この人のキャラ的には全然「アリ」。というか長く聴いてると、むしろカッコよく思えてくるから音楽ってほんと魔術です。

 

 

 

第1位 フレディ・マーキュリーさん (クイーン,1981)

 

youtu.be

 

ニューウェーヴ全盛の時代にクラシックロックをこんなに堂々と鳴らしていたのは彼らぐらいでしょう。

しかしファッションセンスは明らかにニューウェーヴ」の域

モリッシーもそうですが、ゲイの人って本当に天才的なセンスを持ってますよね。(もちろん誉め言葉です)

 

その御姿は、聖☆マリオもしくは聖☆レイザーラモンHGと呼びたくなるほどに眩しいです。

バーニーさん(第5位)の正統進化、2020東京オリンピック終了後の「アスレジャー」のなれの果て、いろんな形容が浮かびますが、彼のファッションが我々の時系列を超越しているということは確かです。

 

 

さいごに

 

いかかでしたでしょうか?

音楽の話題にはまったく触れず、最後まで来てしまいました笑

 

ファッションは日々移ろうものですが、音楽も同様に、リバイバルというのを繰り返して、再流行したりします。

 

ふとしたキッカケで、昔のアーティストが気になったとき、今の時代Youtubeで昔の映像は好きなだけ観れますが、「え、なにこのファッションセンスありえねー」と思って、未知の音楽との出会いを無下にしてほしくないという願いから、皆さんへの「ワクチン接種」のつもりでこんな記事をつくりました笑

 

 

ニューオーダー、CAN、ヒューマン・リーグ、ザ・スミス、クイーン、そしてハッピーマンデーズ…

今回挙げたアーティストは、時代や音楽性はバラバラですが、どれも今聴いても最高にカッコいいバンドばかりです!

 

もし少しでも引っかかるものがあれば、この機会に、彼らを掘り下げていただければ幸いです。

 

 

 

Power Corruption & Lies

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Tago Mago (Reis)

Tago Mago (Reis)

 
Dare: Deluxe Edition

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Hatful of Hollow (Remastered)

Hatful of Hollow (Remastered)

 
ザ・ゲーム

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CHAIからはじめる「ポストパンク」入門

「NEOかわいい」

「コンプレックスはアートなり」

を掲げた女性4人組バンド、CHAI

 

 

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どうせコンセプト先行の、よくあるコミックバンドなんでしょ?

 

…と思いきや、彼女たちの作るサウンドは、震え上がるくらい「骨太」なんですよね。

 

 

ガールズバンド革命=「CHAI

 

 

 最初にYoutubeでみた(聴いた)ときは唖然としました。

「オレ弱いよ~」とか言って予防線はりながら、女子に腕相撲で負けたみたいな、10万ボルトの衝撃が走ったのです。

 


CHAI - N.E.O. [YouTube Music Sessions]

 


家庭にも社会にも、いよいよ男の出る幕はなくなりそうですね。。

 

さて、そんなCHAIは、Spotify世代のバンドらしく、音楽の探し方は「TV」でも「ラジオ」でも「レコードショップ」でもありません。

 

なんとH&Mで「Shazam*」です。

 

 

 

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*Shazamは音声認識で今流れてる音楽を自動で検索するアプリ。

 

確かにH&Mとか海外のファストファッションのお店って、低音の効いた音楽がガンガン流れてますよね。言われてみればプチ・クラブ空間みたいです。新しい音楽の出会いのカタチなのかも。

 

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CHAIのルーツ探訪


そんな新しい世代のガールズバンド・CHAIのルーツを探っていきたいと思います

 

彼女たち、洋楽ポップス~R&B~EDMまで幅広く手当たり次第聴いてるようです。気に入った楽曲やアーティストはバンド内でシェアし合うんだとか。

確かにCHAIの音楽にはブラックミュージックやクラブミュージックの要素もふんだんに盛り込まれています。

 

しかし、CHAIサウンドの「根っこ」にあるのは、「ポストパンク」だと個人的には思っています。

 

 

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ストパンクとは?

 

 

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ストパンクとは、70年代にパンクロックの焼け野原の後にイギリスで生まれた、ロックの一形態です。

音楽性はバンドにより様々ですが、あえて共通点を挙げるなら、「クール」で「トガった」サウンドを奏でるという点でしょうか。

 

 

邦楽ポストパン

 

邦楽ロックでいえば、最近ではトリプルファイヤーLillies and Remains、古くはフリクション突然ダンボーなど。

 

 

淡々としたドラムの上に、ギターやベースが単純なリフを刻む、隙間だらけのようでいて隙のないアンサンブル

 

 


Totsuzen Danball [突然段ボール] - 介添人の希望すること (1981)

 フレーズを淡々と繰り返すだけの規則正しいドラムプレイは、ポストパンクバンドでよく用いられます。ドイツのNEU!というバンドが生み出した「モータリックサウンドの影響です。

 

 

オリジナルポストパン


お次は、オリジナルともいえるイギリス70~80年代のポストパンク。「ニューウェーブ」とも言われます。

現在進行形のオルタナティブ・ロックやインディーロックの直接的先祖にあたります。

 


Joy Division - Transmission [OFFICIAL MUSIC VIDEO]

キング・オブ・ポストパンと言えばジョイ・ディヴィジョン

氷のように鋭利なギターサウンドと、メロディアスなベースライン、ジム・モリソンみたいに低く絞り出すボーカルは、多くのポストパンクバンドがこぞって真似しています。細かくシンバルを刻む手法は、このバンドの発明です。

CHAIのドラマー・ユナも多用していますね。

 

 

 


XTC - Statue Of Liberty

ストパンクは先ほどのジョイ・ディヴィジョンのような「ダーク」なサウンドが多いですが、こちらはCHAIに似てポップな雰囲気。

ギターカッティングとベースラインがCOOL!

ただし、00:17頃のハゲの笑顔は今晩あなたの夢に出てきますよ?

 

 

 


いかがでしょうか?

意外と「ダンス」の要素も強く、いわゆる「昔のロック」の中でも、感性が比較的今に近いんじゃないかと思います。

 
その証拠に、ポストパンクのダンス成分を拡張したようなバンドが、10年ほど前にぽんぽん現れました。俗に言うストパンク・リバイバルです。

 

 

00年代ポストパンク・リバイバル

 

 

youtu.be

グルーヴィで、だんだん今っぽくなってきましたね!

現代のバンドにもポストパンクの血が受け継がれてるのがわかると思います。

トロピカルな味付けは、少し「sayonara complex」っぽいかんじです。

 

 

youtu.be

H&Mで鳴っててもおかしくないぐらいダンスミュージック寄りですが、骨太なバンドサウンドとダークなメロディーはあくまで「ポストパンク」マナー。

最後のスネア連打も、EDMだったら「キター!」ってなるところで、ピタリと曲が終わるのが最高にカッコイイ。

 

 

さいごに

 
いかがでしたでしょうか?

CHAIファンの皆様のアンテナに一個でも引っかかれば嬉しいです。

これを機にポストパンクを掘り下げていただけると感無量です。

 

 


NISENNENMONDAI - LIVE AT UPSET THE RHYTHM

ラストにポストパンクの濃縮還元サウンドを。

女の子3人組ですが、もはや「邦楽ロック」「ガールズバンド」と呼べないぐらいストイックなサウンドです。。「話しかけるな」オーラが半端ない

 

 

皆さんもうお気づきかと思いますが、私、ポストパンクが大好物なんです

ダークなサウンドはもちろん、ハスに構えた態度や、ライブやアルバムアートワークでも「決して笑顔を見せない」感じが、中二病っぽくてドツボなんです!笑

 

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対して、CHAIはほんとうに笑顔が似合う4人組ですが、クールな音楽性とのギャップがマジで素敵

 

 

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あっ…これが「NEOかわいい」ということか。

 

 

 

Unknown Pleasures (Bonus CD) (Reis)

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Drums & Wires (Cd+Blu-Ray)

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Total Life Forever

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星野源は1年以内にJ-POPを救う。

 

日頃から「音楽オタク」を自称している私nuskですが、今になって「星野源」の素晴らしさに気づきました。。 

 

音楽活動だけでなく、俳優業や執筆活動なども同時進行でこなすマルチな才能と、人当たりのいいキャラクターはとても魅力的ですよね。

 

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しかし、本当に注目いただきたいのは、楽家としての「星野源です。

 

あえて断言します。

星野源は1年以内に、J-POPの歴史を塗り替えます。

 

 

『でも「恋ダンス」に「ドラえもん」に朝ドラの主題歌…お茶の間にも完全に浸透してるし、すでにJ-POPの歴史に名前刻まれてるよね?』

 

 

ええ、確かにそうですが、こんなものじゃないんです、彼の可能性は。

 

 

今回は、星野源の音楽家としての「知られざる可能性」を紐解いていきたいと思います!

 

 

ブラックミュージックの伝道師としての星野源

 

彼はブラックミュージックを愛していて、「R&B」のサウンドをうまくポップスに落とし込んでいます。

「ブラックミュージックって何?」という方は以下の記事をご参考ください。

 

nusk.hatenablog.com

 

 


星野源 - SUN【MV & Trailer】

 

かねてからマイケル・ジャクソンのファンを公言している星野源

ご存知の通り、この曲はイントロからしジャクソン5のオマージュです。

 

 


I Want You Back - The Jackson 5

 

現在、J-POPや邦楽ロックシ-ンでも、ブラックミュージックは大きなキーワードになっています。

 

ブラックミュージックと一言でいっても、SuchmosCeroなどの「シティポップ」スガシカオやレキシなどが取り組む「ファンク」など多様なジャンルがありますが、星野源の場合は「R&B」です。

 

しかも、三浦大知や昔のEXILEのような「コンテンポラリーR&B」ではなく、50~60年代のイブシ銀の「オールドR&Bです。

 

古き良き「オールドR&B」を現代に伝えるアーティストは本当に数少ないです。(坂本慎太郎ぐらいでしょうか)

 

J-POP界にオールドR&Bの雰囲気を持ち込んだ「SUN」の功績は非常に大きいです。

 

しかし、星野源の本領はこんなものではありませんでした。

 

 

モータウンコア」の創始者としての星野源

 

星野源と言えば「恋」。

これは万人に一致することかと思います。

しかし当時、「逃げ恥」やら「恋ダンス」やらが私にとっては目障りで眩しすぎて、自然と避けてしまっていました。。

 

 

こんなブログをつくっておきながら…「聴かず嫌い」ってほんとにこわいですね。

 

 

 

「恋」はJ-POPの歴史を揺るがす大名曲でした。

 

 


星野源 - 恋【MV & Trailer】

 

もちろんメロディーは文句なしにエクセレントです。

 

しかしサウンドに目を向けるなら、「鍵」は「ドラム」です。

 

ドラムが曲のテンポに対して、「ジャスト」に近いグルーヴを叩きだしています。

これはR&Bの名ドラマー「アル・ジャクソン」やYMO「高橋幸弘」のプレイを真似てるのではと推測します。

 


夜のヒットスタジオ 1980年6月2日 YMO TECHNOPOLIS~RYDEEN (雷電)

シーケンサーの機械のリズムに合わせて演奏することで、グルーヴ感をあえて殺しています。これもグルーヴの一つの形です。

 

 

もうひとつ注目すべきは、BPM(曲のテンポ)が妙に早いことです。

 

 

realsound.jp

 

こちらは「恋」発売時のインタビュー記事です。「恋」の曲作りに関して、要約したうえで、私自身の意見も加えると、こうです。

 

R&Bをベースに、BPMを極度に上げて、早送りしたようなサウンドにすることで、R&B特有の「粘り」や「モタつき」を解消し、都会的なサウンドが偶然出来上がった。』

 

 

そして、星野源はこのサウンドモータウンコア」と直感的に名付けました。

 

モータウン」とはオールドR&Bで有名なレコード会社の名前で、モータウンサウンドと呼ばれるくらい独自の音楽性を確立していました。

 

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そして、モータウンコアの「コア」とはハードコアパンクのことです。ハードコアパンクとは、「パンクロック」をさらに先鋭化して、BPMを極端に釣り上げた音楽ジャンルを指します。

 

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大衆音楽として大成功した「モータウン

反社会的なムーブメントだった「ハードコアパンク

 

相反するイメージを合体させた、星野源のネーミングセンスには脱帽です。

 

「恋」からはじまった「モータウンコア」は、意識的に早送りみたいなBPMにすることで、余韻をあえて残さない「クール」で「フレッシュ」なグルーヴを生み出しています。

これは「恋」以降のシングル「ドラえもん」なんかも同様です。

 

ちなみに、最近流行のTik Tokも、楽曲のBPMを上げたり、動画の速度を上げたりして、手軽に「クール」さを演出できるのがウリですよね。それと同じ原理です。

 

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早送りサウンド古今東西

 

ところで、星野源の「モータウンコア」は真にオリジナルなのでしょうか?

もちろん同じような「早送りサウンドの実験をしてきたミュージシャンはいます。

ひとつずつ検証していきたいと思います。

 


Squarepusher - Coopers World

スクエアプッシャーというイギリスの打ち込み系ミュージシャンです。

生演奏では再現できないぐらいの早さでドラムサウンドを組み込むドラムンベース「ドリルンベース」というジャンルを確立しました。

「生演奏では再現できない」はずが、Youtubeには数々の「スクエアプッシャー叩いてみた」が。

ユーチューバーおそるべし。

 

 


NEU! - Super 78

もっと無邪気に、既存の楽曲のテープ回転数をイジって「ハイ、これ新曲ね」とリリースした猛者もいました。1973年のドイツでの話です。

しかしながら、彼らの生み出した数々の実験サウンドは、後に生まれる「テクノ」エレクトロニカ、現代のインディーロックにも多大な影響を与えています。

 

 

SquarepusherNEU!の「早送りサウンド」はいずれも、機械的で、悪く言えば「拒絶的」な印象を与えますが、星野源の「モータウンコア」は、クールでありながらも、あくまで「人懐っこい」グルーヴがあります。

 

これはモータウンサウンドを前提としているからだと個人的には思います。

 

単なる早送りサウンドを超えて、「クール」で「人懐っこい」グルーヴをもったこのサウンドは、「新しいポップミュージック」といって差し支えないでしょう。

 

それと同時に「モータウンコア」という言葉は、これからもっと広まっていくんじゃないかと思っています。

 

 

イエローミュージックの求道者としての星野源

 

以上、星野源は「モータウンコア」という音楽ジャンルを生み出しましたが、彼にはもっと大きい目論見があります。

 

それは、「イエローミュージック」の追求です。

 

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イエローミュージックとは、先ほどのインタビュー記事でも語られていますが、要するにブラックミュージックとJ-POPを折衷したポップミュージックのことです。(またもや彼の造語です!)

 

言葉が違うだけで、山下達郎・YMO・サザンオールスターズDREAMS COME TRUEなど、「イエローミュージック」を目指してきたアーティストは沢山います。

 

それぞれ日本において大衆性と音楽性を見事に両立して活動してきました。

 

しかし、新しい世代のJ-POPシーンでは、皆無です。

 

星野源はそこを目指しているのです。

 

 

星野源のニューアルバムはJ-POPを救う!(1年以内に)

 

 

現在、「恋」「Family Song」「ドラえもん」「アイデアが収録されるであろうニューアルバムが待望されています。

 

前作「YELLOW DANCER」では「時よ」で例のモータウンコアがみられるくらいで、全体的には意外とブラックミュージックに頼っていました

 

次のアルバムでは、これがイエローミュージックだ!と世界に向けて発信できるような作品となることは間違いないでしょう。

 

それに共鳴するようにして、J-POPや邦楽ロックのアーティストがそれぞれの「イエローミュージック」を次々と打ち出していく、、

 

彼のつくり出す音楽には、そんな未来を期待させるパワーに満ちています。

 

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あ、記事タイトルの「1年以内」というのはニューアルバムの希望納期です笑

 

源さん!

ご多忙の中、健康には十分気をつけた上で、私たちに新しいアルバムを(できれば1年以内に)届けてください(切望)

 

 ※12月19日にニューアルバム『POP VIRUS』発売されました!!

全曲解説はこちら↓↓↓

 

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恋

 
ジャクソン5・ベスト・セレクション

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Solid State Survivor

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「グルーヴ」は三度の飯より旨し。シティポップからはじめるブラックミュージック入門

 

 

Suchmosを筆頭に、cero、D.A.N、Yogee New Wavesと、最近の邦楽シーンのメインストリームになりつつある、シティポップ

 

バンドだけでなく、iri佐藤千亜妃(きのこ帝国)などの「ボーカルもの」も見逃せません。

 

 


iri - 「rhythm」ミュージックビデオ

 

 

 

 

都会的な雰囲気を持ちながらも、アーティストごとに、多種多様の持ち味があるシティポップ勢。

 

共通点は、ブラックミュージックのエッセンスを意識的に取り入れているということです。

 

ということで今回は、ブラックミュージックの楽しみ方について、レクチャーしていきたいと思います。

 

 

 

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ブラックミュージックとは

 

 

ブラックミュージックとは文字通り、黒人のつくり出した音楽の総称です。

具体的な音楽ジャンルでいえば、ジャズ・ファンクR&B・HIP HOP等にあたります。

 

そして、ブラックミュージックとは主に、「グルーヴ」感の強い音楽のことを指します。

 

 

 

グルーヴって何?

 

 

ブラックミュージックにとって、「グルーヴ」という概念は欠かせないものです。

 

「グルーヴ」を敢えて一言で表すなら、

 

リズムの「ズレ」や「強弱」が生み出す「一定の効果」

 

となります。

 

 

…かなり慎重に言葉を選んでしまったので、全然ピンとこないですよね笑

 

何故慎重になってしまったのかというと、グルーヴという概念は、ブラックミュージックにとって、最も重要な要素であるにもかかわらず、ハッキリした定義がなされていないからです。

 

basement-times.com

 

 

しかし、これはよく考えてみれば、別段おかしなことではありません。

 

だって、私たち人間の「魂」や「脳の働き」なんて、ほとんど解明されてないですよね?

飛行機の飛び方だって、実はあんまりよくわかってないそうですし、世の中わからないことだらけなんです。

 

 

なんでもかんでも誰かが「答え」を用意してくれる、グーグル先生が教えてくれると思うのがそもそも間違いなんです!

 

 

 

…ということで、肝心なところは煙に巻いて、話を先に進めるとしましょう。

 

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グルーヴィーな音楽=身体を揺らしたくなる音楽

 

 

「グルーヴ」という概念は感覚的な要素が強いので、「言葉だけで」説明しようとすると、たぶん何万字あっても足りませんし、そもそも私には説明できる能力がありません笑

 

しかし、グルーヴ感の強い音楽を聴くと、私たちはどういう反応するのかは簡単に説明できます。

 

グルーヴの強い音楽を聴くと、自然と身体を揺らしたくなります

もっと具体的に言うと、身体が勝手に踊りだしたくなるのです。

思わず踊りたくなるような音楽を指して、グルーヴのある(グルーヴィーな)音楽とよく表現しますよね。

 

 

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グルーヴを生み出しているもの

 

 

グルーヴを生み出しているのは、楽器やボーカルの繰り出すリズムです。

グルーヴを実感するためには、各楽器のグルーヴを体感して、身を預けてみる必要があります。

 

ということで、Youtube先生に合わせて踊りながら勉強してみましょう!

 

 

ハイ、自習!!

 

 

 

 

①ドラムスのグルーヴ

 

ドラムはバンドのリズムを主導する楽器です。

ドラマーの実力次第でバンドの空気を一変させるほどの影響力を持っています。

 


Chris Dave - Medley (Pt. 1)

「ポーティスヘッドというイギリスのバンドの曲を叩いてみた」

…ってホンモノより上手いじゃん! 

それもそのはず、彼は現代ジャズシーンの雄ロバート・グラスパー・エクスペリメントで叩いていたプロ中のプロ。

ビートが細かすぎて、実際に踊ることはできなさそうです。。

しかし、「身体が思わず反応してしまう」感覚、なんとなくわかりますでしょうか?

 

 

②ギターカッティングのグルーヴ

 

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ギターには、カッティングという奏法があります。

チャキチャキカッチャカッチャというような音を鳴らします。

わざと音をミュートして、鋭いリズム感を作り出しています。

 

 


Daft Punk - Get Lucky (Official Audio) ft. Pharrell Williams, Nile Rodgers

デスクトップミュージックを生業としていたダフト・パンクが、生のバンドサウンドで再び成功を掴みました。

Chic(シック)のギタリスト、ナイル・ロジャースを迎え、名人的カッティング芸を惜しげもなく披露しています。

一部の隙も無い、ラグジュアリーで完璧なポップソングに仕上がっています。

 

ベースのグルーヴ

 

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ベースにも、ギターと同じくリズムを強調するための奏法があります。「スラップ」です。

 

ピックの替わりに唐辛子を用います。ウソです。

 

 


Bruno Mars - Treasure [Official Music Video]

サウンドも、MVの演出も、アース,ウインド&ファイヤーなど往年のファンクミュージックを忠実にパロっています。…全員でコッチ見んな!!

スラップの効いたベースが、腰を直接狙い撃ちするような強烈なグルーヴを生み出しています。

 

ボーカル(ラップ)のグルーヴ

 

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ブラックミュージックでは、ボーカルもリズム楽器としての機能を求められます。

 

先ほど紹介したDaft PunkのGet Luckyに客演しているファレル・ウィリアムズのボーカルも、バンドサウンドの中で、リズミカルに溶け込んでいます。

 

しかし、ブラックミュージックにおいて究極のボーカルスタイルといえば、HIP HOPにおける「ラップ」です。

 

 

youtu.be

客演したA.Z.のラップパートが、イントロのすぐ後にはじまりますが、のっけから息継ぎなしの最高速で飛ばします。

ただ速いだけではなく、細かく踏んだ韻のリズム、メロディアスな抑揚(フロウ)のつけ方、そして耳なじみのいい声質と、音楽的要素が多く隠れています。

 

 

さて、リズムのズレが生み出す「効果」=グルーヴを体感していただけたでしょうか?

 

あ、グルーヴを体感するには、大前提として「音量を上げる」ことが必須であることをお忘れなく。

nusk.hatenablog.com

 

 

グルーヴは黒人音楽の専売特許?

 

 

今回はグルーヴを体感することで、ブラックミュージックに慣れ親しんでもらおうという趣旨なので、黒人音楽一辺倒の案内になってしまいましたが、グルーヴとは、ブラックミュージックだけの特権ではありません

 

確かに、グルーヴの重要性を、ポピュラー音楽の世界に提示したのはジャズやファンクです。

 

しかし、例えば、沖縄音楽や、盆踊りや、メトロノームの音にも、実はそれぞれ異なるグルーヴがあります

 

あらゆる時代、あらゆる地域の音楽を、「グルーヴ」という角度から覗いてみると、もっとオモシロイものがみえてくるのです…

 


Kraftwerk - The Robots HQ Audio

今回紹介したブラックミュージックのリズムは、少し後ろにアクセントをズラしたリズム(タメの効いたリズムと表現します)ですが、こちらドイツのクラフトワークは、ご想像の通り、「キカイのリズム」を元にしています。

メトロノームのように「ジャスト」なグルーヴは、思わぬ快感をもたらし、人々をテクノミュージック(とテクノカット)に向かわせたのです…

 

 

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